お子様の健やかな成長を願う「七五三」は、お子様の和装姿を楽しむ行事でもありますね。七五三前後は「七五三着物のクリーニングの料金相場はいくら位かかるのですか?」というお問合せも一気に増える時期です。
七五三着物の主なお手入れには、大きく分けて「着物丸洗いクリーニング」「シミ抜き」「汗抜きクリーニング」「カビ取りクリーニング」の4種類があります。
目次
七五三着物・丸洗いクリーニングの料金相場と注意点
まずは七五三着物の丸洗いクリーニングの料金相場や、比較する際の注意点を見ていきます。
着物丸洗いとは?
着物丸洗いクリーニングとは、洋服クリーニングで言うところの「ドライクリーニング」です。石油系の専門的な溶剤を使って、着物全体を専用機材を使用して機械洗いしていきます。
【一般的な着物丸洗いで落ちる汚れ】
- 全体的なチリ汚れ
- 全体的なホコリ汚れ
- ついたばかりの軽い皮脂汚れ など
石油系溶剤を使うため、落とせる汚れは原則「油溶性の汚れ」です。
【どんな時に着物丸洗いをする?】
- 長期保管をする前
- シーズンオフの頃
- タンスから出したらホコリっぽさが気になる場合 など
着物丸洗いクリーニングは「しばらく着物を着ないな」という時に、タンスにしまいこむ前のお手入れとして使うのが一般的です。七五三着物の場合には、次回(卒園式、入学式やお正月、後撮りなど)の着用予定がなく、年単位での保管をする場合などに着物丸洗いクリーニングをしておくのがおすすめです。
七五三着物の丸洗いクリーニング料金相場は?
七五三着物丸洗いクリーニングの料金相場
- 女児七五三着物の場合 着物と長襦袢とのセットで 5,000円~10,000円
- 男児七五三着物の場合 着物と長襦袢と羽織のセットで 10,000円~15000円
安いところであればこれより安価な価格でも七五三丸洗いクリーニングは可能です。ただし安いところほど、次に説明する「予洗い」「仕上げ洗い」などは省略されてしまい、単純に機械で回して洗うだけの「ざっくりクリーニング」になりやすい…と考えた方が良いでしょう。詳しくは事項で説明します。
丸洗いクリーニング「予洗い」「仕上げ洗い」をチェック!
丸洗いクリーニングは上で解説したように、基本的には機械で洗うお手入れの方法です。しかし良心的なお店とそうでないお店だと、同じクリーニングでも内容・仕上がりがかなり違います。
【良心的なお店の丸洗いクリーニング】
- 予洗い 手作業で汚れやすい箇所をあらかじめ特殊洗剤で洗っておく
- 丸洗い 溶剤を入れた機械で全体洗いを行う
- 仕上げ洗い 残っている汚れがあればさらに手作業で落とす
この3段階の丸洗いを行なっているお店なら、次のような汚れは大体落とすことができます。
- 新しいファンデーション汚れ
- 付いたばかりの袖口汚れ・襟元汚れ など
ちなみに当店『ふじぜん』では、水性のシミ汚れも落とせる当店独自ブレンドの洗剤を使って予洗いをしています。ですから「着物丸洗い」だけで、次のような汚れも落とせます。
- 新しく付いた母乳汚れ
- 新しい食べこぼし汚れ
- 新しい化粧品汚れ など
つまり「ちゃんと予洗い・仕上げ洗いをしているお店なら、別途シミ抜きの必要なく、丸洗いだけでイベントで付いた汚れをほとんど落とせる」と言うわけです。
【激安価格の丸洗いクリーニング】
1)丸洗い 溶剤を入れた機械で全体洗いを行う → 乾燥しておわり
料金が相場より安いお店は、それだけ作業工程を省略する傾向が見られます。そのため衿元や袖口など、汚れやすい箇所の予洗いなどを行なっていない店舗が多いです。一応クリーニングはしたことになりますが、繊維にはさまざまな汚れが残っていることになります。
そのため「クリーニングに出したのにキレイになっていない」と言うトラブルが起こりやすかったり、のこった汚れが黒ずみ・黄ばみなどの原因となりやすいリスクがあります。
七五三着物・シミ抜きの料金相場と注意点
次に、七五三着物のシミ抜きをする場合の料金相場や注意するポイントについて見ていきましょう。
シミ抜きとは?
シミ抜きとは、食べこぼしや飲み物の汚れ、化粧品汚れ、泥はねなど、着物に付いたシミ・汚れを部分的に取り除くお手入れ方法のことを言います。汚れの原因に合わせて、着物染み抜き専門の職人が一箇所ずつを手作業で汚れ落とししていきます。
一般的なシミ抜きで落ちる汚れ
- 食べこぼし
- 飲み物のハネ
- 母乳の汚れ
- 泥ハネ
- 化粧品の汚れ など
どんな時に着物染み抜きをする?
- 汚れ・シミを発見したとき
どのような汚れ・シミも、発見次第、できるだけ早くご依頼いただくのが一番です。時間が経てば経つほど汚れは落ちにくくなりますし、それだけ染み抜き料金も上がってしまいます。
七五三着物シミ抜きの料金相場は?
七五三着物のシミ抜き料金は、原則として「シミの大きさ」で決まる店舗が多いです。
着物のシミ抜き料金相場
- 一箇所あたり 500円~1,000円
※直径1センチ程度の大きさ
※1センチ刻みで段階的に値段が上がっていきます
なお、ワインや葡萄ジュースなど、非常に色素が濃いシミ(染まってしまっているシミ)の場合には染み抜きの難易度が上がるため、染み抜き料金が上がるお店が多いです。また、シミが古いものであったり、カビや酸化しているシミの場合には、別途「黄変抜き」の対応が必要になります。詳しくは次項で詳しく説明します。
古いシミ・酸化シミは「黄変抜き」が必要です
次のようなシミは、通常の「染み抜き」で汚れを取り除くだけでは元の状態に戻せません。
- 付いてから時間が経過したシミ
- 黄ばみ
- オレンジ・茶色に変色したシミ
- 黒カビや青カビ・白カビによるシミ
このようなシミに対しては、汚れ取りに加えて変色した部分の漂白などを行う「黄変抜き(古い染み抜き)」が必要になります。
七五三着物の古いシミ抜き(黄変抜き)料金相場
- 一箇所あたり1,000円~2,000円
※直径1センチ程度の大きさ
※1センチ刻みで段階的に料金が上がっていきます
※着物の生地が脆くなっている場合には黄変抜きできないことがあります
また、着物やシミの状態によっては、漂白すると色抜けを起こしてしまうため部分的な染め直しや柄足しなどの「染色補正」が必要となる場合もあります。
シミ抜きは無料見積りができる店を選ぼう
着物の染み抜きは、上で解説したように「シミの大きさ」「古さ」などの要素で料金が変動します。そのため実際の着物を検品してから、「染み抜き料金はいくらかかります」とお客さまにお伝えする「見積もり(みつもり)方式」を取っているお店がほとんどです。
無料で見積もりしてくれて、万一お見積もり値段に納得できない場合には無料キャンセル可能なお店を選ぶと安心ですね。当店『ふじぜん』でも無料のお見積りを喜んで受け付けています。「七五三着物の染み抜きっていくらかかる?」がわからない時は、お気軽にご利用ください。
シミ抜き「単品」がオーダーできない店もある!
七五三着物のシミ抜き(部分洗い)を単品でオーダーできるかどうかは、お店によって対応が違います。「部分洗いだけお受けします」と言うお店もあれば、「シミ抜きは丸洗いのオプションでしか受け付けません」と言うお店もあるのです。
比較例
- 染み抜き単品ができるお店の場合 部分洗い(シミ抜き)2センチサイズ4ヶ所 → 1,500円×4 = 6,000円
- 丸洗い+染み抜きしか受け付けないお店の場合 丸洗い料金 10,000円 + 染み抜き4ヶ所6,000円 = 16,000円
近々に着用予定があるのならば、部分的な汚れだけ落として丸洗いは省いた方がオトクですよね。単品オーダーができるかどうか、お店に確認を取って見ると良いでしょう。
七五三着物・汗抜きクリーニングの料金相場と注意点
七五三が終わったあとのお手入れとして、汗抜きクリーニングの料金相場の存在も忘れずに知っておきたいところです。
着物の汗抜きクリーニングとは?
着物の汗抜きクリーニングとは、丸洗いクリーニング(ドライクリーニング)では落としきれない「汗汚れ」を取るためのお手入れです。
汗の汚れは着物全体につく水性汚れであるため、石油系溶剤を使った「丸洗い」では分解・除去しきれません。そのため汗のミネラル成分が繊維に残りやすく、酸化した汗汚れが「黄ばみ」「カビ」「黄変(オレンジ・茶色のシミ)」などの原因となります。これを予防するために行うのが「汗抜きクリーニング」というわけです。
汗抜きクリーニングで落ちる汚れ
- 新しく付いた汗汚れ(背中、脇、袖口など)
どんな時に汗抜きをする?
- 夏場の着物の着用後
- 暖房が効いた場所での着物の着用後 など
なおお子様は体温が高く汗をかきやすいため、七五三着物には大人向け着物より汗がたくさん付きやすいです。着用の季節を問わず、できれば汗抜きクリーニングを行なっておくことをおすすめします。
七五三着物の汗抜きクリーニング料金相場は?
七五三着物汗抜きクリーニングの料金相場
- 着物1枚あたり 5,000円~8,000円
汗抜きクリーニングは、丸洗いクリーニングのオプションとして行われます。上記の料金以外に丸洗い料金がプラスされますので、公式サイトなどで料金比較する際には「丸洗い込みの価格か、独立した価格か」に注意しましょう。
黄ばむ・変色する前に汗抜きを!
汗に含まれるナトリウムなどのミネラルは、1年?5年という長い時間をかけて酸素と結びつき、着物を黄ばませたり、茶色・焦茶色のシミである「黄変シミ」に変化していきます。着物が黄ばみや黄変を起こしてしまった場合、より専門的な対処である「黄変抜き」を行なったり、着物の染め直しなどをしなければ、着られる復元することができません。
また、着物の裏地(胴裏)は漂白ができないため、裏地の変色があった場合には裏地のお取り替えが必要になります。このような加工が必要になってしまう前の保険として、早めの「汗抜き」でお手入れをしておくことをおすすめします。
七五三着物・カビ取りクリーニングの料金相場と注意点
ご両親やお祖父様お祖母様が来ていた七五三着物を、子・孫に着せるご家庭も多いですよね。このような長期保管後の七五三着物に多いのが「カビ」の問題です。カビ取りクリーニングの料金相場も見ていきましょう。
カビ取りクリーニングとは?
オゾン噴霧などで繊維の表面や奥に潜むカビ菌を除去する着物のお手入れ方法です。従来のお手入れ方法だと着物のカビには洗い張り(着物を解いて洗い直す方法)が必要とされていましたが、カビ取りクリーニングでは着物を解かず、丸のままの状態でカビ菌を除去できます。
どんな時にカビ取りする?
- 着物がカビ臭い
- カビが生えているのを見つけた
- カビによるトラブルが起きている
着物のカビ菌は、一度繁殖するとご家庭では殺菌することができません。ふわふわの白カビなどは表面を払えば目には見えなくなりますが、繊維の奥にはカビの根っこが残っているので何度でも症状が再発しますし、徐々に「カビによるシミや黄変」という重い症状に進行していきます。さらに、一枚の着物にカビが生えると、一緒に保管している着物にもカビ菌が移って繁殖しやすいです。
七五三カビ取りクリーニングの料金相場は?
七五三着物カビ取りクリーニング料金相場
- 6,000円~10,000円
※着物のカビによる「シミ」ができている場合、別途シミ抜き料金が必要になります。
※着物の重度のカビにより変色・褪色が起きている場合、別途、染色補正などによる対処が必要になります。
カビ菌は放置しておくと菌がどんどん増えてしまいます。「七五三着物がカビくさい」と感じたら、症状が重くなる前に早めにカビ取りクリーニングしておきましょう。
おわりに
七五三着物のクリーニングについて料金相場を解説しましたが、情報はお役に立ちそうですか?七五三着物をキレイにするためにいくらかかるのかは、その着物の汚れの状態や、次に着用する予定などによっても変わってきます。「とにかく安い料金で」にこだわってしまった結果、数年後に着物が黄ばみダメージだらけになってしまった…こんなご相談もいただいているのが現状です。
公式サイトに目立つように書いてある料金の安さだけにとらわれず、ご家庭や着物によって異なる「ベストなクリーニング方法」を提案してくれるお店を見つけるのが一番と言えるのではないでしょうか。当店『着物ふじぜん』も、七五三着物の丸洗い・シミ抜き・汗抜き・カビ取りクリーニングを受け付けています。
全国宅配対応もしていますので、お近くに着物クリーニングに強いお店が見つからない時にはぜひお気軽にご利用ください。「七五三クリーニング、どのお手入れ方法が良いのかわからない」という時の無料のご相談も承っています!