脳性麻痺など障害のある新成人は、移動困難、着付け支援不足、トイレ・長時間着席・医療ケアなど多くの障壁で通常の成人式参加が難しい 。横浜市では2026年に障害者向けの祝賀会に169人(保護者含め450人)を受け入れた例があります 。
各地で着付けボランティアや車椅子対応着物の導入、オンライン枠設置など多様な支援事例が生まれている 。法律面では「障害者差別解消法」下で合理的配慮が義務化され、成人式場にも情報提供・誘導支援が求められる。
当事者や家族は「特別な配慮で参加を実現できた」「長い式は負担」などの声があり 、予めニーズ把握・リハーサル・非常時対応を盛り込んだチェックリストが有効である 。
改善策としては自治体への障害者参加方針の明文化、会場バリアフリー整備、同伴者受入れ明示、代替式典・オンライン開催の推進などが挙げられる。

現状と統計
参加率・実態
一般の成人式参加率は約60%台と低下傾向にあるが、障害者の統計は少ない。参加困難な理由としては「長時間の式典参加が難しい」「介助体制に不安」「周囲への配慮から遠慮」といった声が聞かれる 。
障壁例
移動手段確保、車椅子対応(段差・スペース)、着付け・トイレ介助、長時間座位による体調不良、持病対応(酸素・チューブ等)などが典型的障壁である 。
自治体格差
横浜市では2026年の障害者20歳祝いの式典に169人が参加(保護者含め約450人)するなど大規模実施例がある 。他都市でも熊本市、坂井市など市社協・親の会主催の専用式典が定着してきた 。しかし自治体間で対応にばらつきがあり、公式成人式の通知に障害者を含めるか否かすら不明瞭なケースもある。
成人式支援事例

以下に、自治体・支援団体が主催する成人式支援の主な事例をまとめる。参加者は原則障害者手帳保持者、費用は原則無料であることが多い。
提供サービス障害者向け成人式(式典、記念品・証書授与、記念撮影、舞台演出等)、着付けボランティアの配置
費用無料
申込方法事前申込制(申込書をFAX/メール等で提出)
連絡先横浜市心身障害児者を守る会連盟(045-475-2062)
利用条件横浜市在住・2005/4/2~2006/4/1生まれ・障害手帳所持者
提供サービス障害者向け成人式「はたちの記念式典」(式典・集合写真撮影・アトラクション)、ボランティア着付け対応
費用無料
申込方法障害者手帳所持者に案内状送付、申込書をFAX/郵送
連絡先熊本市社会福祉協議会(096-322-2331)
利用条件熊本市在住・同区分生まれ・障害手帳所持者
提供サービス障害者向け成人式「成人を祝う会」(式典、挨拶、誓いの言葉など)
費用無料
申込方法市社協主催(対象者に案内)
連絡先坂井市障害児者福祉協会・社会福祉課(0776-50-3012)
利用条件坂井市在住の障害を持つ新成人
提供サービス障害者向け「ハタチ記念撮影会」(振袖/袴+ヘアメイク付写真撮影、個別対応)
費用無料
申込方法事前登録(区・提携サイト経由)
連絡先株式会社やまと/アトリエはるか
利用条件渋谷区在住・障害者手帳所持の2026年成人者
着付け・衣装支援
多くの式典でボランティアや提携団体が着付けを担当する 。例えば熊本市では着物研究会が振袖貸出・着付け(貸出衣装クリーニング代6,000円、持込着付け3,000円)を行い、障害特性に応じた上下分かれ型着物や車椅子着物が活用されている 。
移動・介助支援
市バスやタクシーによる送迎、会場までの誘導サポート、付き添い席確保などの支援がある。横浜市では「付き添いが必要な方の保護者入場可」と案内し 、神戸市西区では8月に行政主催のバリアフリー成人式を企画している 。
式場バリアフリー
バリアフリー対応会場(段差解消・多目的トイレ・車椅子席配置・手すり設置など)が選ばれる 。会場内動線を明示し誘導するほか、オンライン参加枠(Zoom配信、手話付き中継)を設ける例も増えている 。
オンライン参加
遠隔地や感染対策のため、一部式典ではZoom等での併用開催や後日アーカイブ配信が実施されている。また、SNSでの写真共有企画(#ヘラルボニー成人式等)により参加機会の拡大も図られている 。
法令・ガイドライン
障害者差別解消法
公共機関に合理的配慮提供が義務づけられており、成人式運営にも適用される(例:案内状に会場の段差情報を記載し、当日誘導支援を行う )。
障害者基本法・福祉法等
国・地方自治体は障害者福祉計画で教育・就労・文化参加などを掲げており、成人式への参加支援も含まれるべきとされる。各自治体は障害者基本条例や福祉計画で「共生社会実現」に向けたイベント配慮を示している。
助成制度・補助
成人式自体に直接の助成は少ないが、自治体の福祉予算や社協事業(車椅子貸出・交通費助成など)を活用できる場合がある。文化庁や地方自治体では「多文化・共生社会推進事業」等でインクルーシブな行事支援を行う例もある。各自治体・社会福祉協議会が公表するガイドラインや補助金制度(障害者総合支援法関連補助など)も適時参照されるべきである。
当事者・家族の声とニーズ
ニーズ:多くの当事者は「安心できる環境」「家族・介助者の同伴」「一人ひとりに合わせた支援」を求めている。よくある質問としては「移動手段はどうする?」「式服はどう用意する?」「付き添いは可能?」「長く座っていられるか不安」などが挙げられる。また、撮影会では「写真だけでも残したい」というニーズが強い。自治体には事前に参加可否・要望確認し、分かりやすい案内(易しい日本語版や写真付き資料)を整備することが望まれている。
実務的支援プラン
事前準備チェックリスト例(個別ニーズ確認~準備段階)
参加者ごとの障害特性・医療情報把握(車椅子種、補助具、薬・アレルギー、コミュニケーション方法など) 。
会場下見・バリアチェック(動線、トイレ、スロープ、誘導サイン、車椅子席などの確認) 。
スタッフ・ボランティアの役割分担(介助、着付け、手話通訳、撮影、誘導等)と事前研修 。
参加者・家族への案内(式次第、所要時間、持ち物、アクセス経路、緊急連絡先、感染対策など)。
衣装・移動手段の手配(車椅子着物のレンタルまたは改造、ヘアメイク予約、送迎車両の確保)。
リハーサル実施(式場や施設で模擬進行、着付け・移動経路確認) 。
当日対応
スタッフ集合・会場設営(受付配置、バリアフリー機器設置、掲示確認) 。
介助・着付けサポート(車椅子のまま着付け、トイレ介助、休憩スペース設置) 。
式典進行(短く区切ったプログラム、合図明示、手話・要約筆記対応) 。
緊急対応(AED設置、救急セット準備、参加者の緊急連絡網確認)。
推奨フローチャート(企画から評価まで)
各工程で家族や学校への案内、物品手配、最終チェックを平行して進め、抜け漏れ防止のチェックリストで管理することが効果的である 。
必要物品リスト(例): 車椅子スペース台、着付け用台・手すり、車椅子着物(レンタル¥3,000~6,000/人程度 )、マイク・プロジェクタ(¥30,000~50,000)、撮影機材(写真・アルバム¥20,000~30,000程度 )、AED・救護キット、簡易トイレ(必要に応じて)など。
費用見積めやすい例: 着物レンタル・着付け(クリーニング代込)¥3,000~6,000/人、音響設備レンタル ¥30,000~50,000、演奏・パフォーマー謝礼 ¥20,000~50,000、写真撮影(台紙含む)¥20,000~30,000 など、参加人数や規模に応じて増減する。
推奨改善策・政策提言
情報と周知の徹底:行政は成人式通知に障害者向け情報(バリアフリー状況、同伴可否、オンライン参加案内)を必ず盛り込み、障害者手帳保持者には個別案内を送付するなど周知を徹底すべきである。例えば差別解消法事例のように案内状で会場情報を事前提供し誘導担当者を配置する方法は有効である 。
バリアフリー整備の推進:式典会場選定に際しては「高齢者・障害者等配慮設計指針(バリアフリー新法)」に準拠し、段差解消・車椅子スペース・緊急対応などを義務づける。自治体主催式典ではこれらを条例やマニュアル化し、毎年の点検を行うべきである。さらに、公共交通機関と連携し移動支援バスの運行やタクシー補助制度を拡充するとよい。
式典運営の柔軟化:公式成人式への出席が難しい場合の代替策(夏季の分散式典や社協・施設単位の集会)を制度化する。オンライン参加の機会(ライブ配信、メタバース成人式等)の継続・普及も推奨される 。また参加希望者全員が参加できるよう、保護者や介助者の同伴を正式に認める(横浜市例 )など、主体者側の合理的配慮ルール化が必要である。
支援団体・企業との連携:自治体は社会福祉協議会・NPOや地元企業と連携し、着付け・撮影・送迎などの支援体制を組織化すべきである。すでに横浜市や渋谷区では親の会・民間企業が主催に関わり「手作りの祝賀会」が開催されている 。こうした官民協働モデルを全国に広げ、成功事例を共有・普及させることで、どの自治体でも包摂的な成人式開催が実現できる。
障害者参画の確保:企画運営段階から障害当事者や支援者の意見を取り入れた体制(オブザーバー参加など)を構築する。アンケートや事後インタビュー結果を次年度改善に反映させることも重要である 。
参考資料: 横浜市・熊本市など自治体広報 、着物・福祉団体ガイド 、法令・事例集 、当事
者ブログやニュース記事 など。これらをもとに、関係者が包括的な支援策を構築する必要があ
る。
まとめ
本レポートでは、脳性麻痺をはじめとする障害のある新成人が成人式に参加する際の課題と、その支援策について整理いたしました。移動や着付け、長時間の式典参加、医療的対応などの理由により、従来の成人式への参加が難しいケースが多く見られる一方で、自治体や関係団体によるバリアフリー対応や個別支援、オンライン参加などの取り組みも広がっております。
今後は、事前のニーズ把握や柔軟な運営体制の構築、分かりやすい情報提供、バリアフリー環境の整備が一層重要になると考えられます。また、当事者やご家族の声を反映した仕組みづくりを進めることで、すべての方が安心して参加できる成人式の実現が期待されます。
出典:内閣府ホームぺージより
出典:内閣府ホームぺージより
出典アメブロ:◆車椅子の男の子の成人式撮影をさせていただきました