保管ハウツー

着物は桐たんす収納が一番?メリット・デメリットを解説

「着物の収納には桐たんす」が理想的…というのは、着物上級者さんはもちろん、着物初心者さんも聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。でも着物の収納・保管になぜ桐たんすが好まれるかという理由については、知らない人もいるようです。

吉原ひとし
吉原ひとし
こんにちは。創業明治三九年 四代目 ふじぜん 吉原ひとしと申します。着物を専門に取り扱うクリーニング店の店主をさせていただいております。ここでは着物の桐たんす収納・保管について、メリットとデメリットの両面から見ていきます。

これからの着物の保管をどうしようか迷っている人の参考になれば嬉しいです。

着物を桐たんす収納するメリット


桐たんす 着物用 7段 幅100cm 高さ93cm ストッパーキャスター付 肥前桐民芸 日本製

まずは着物を桐たんすに収納・保管するメリットについて見ていきます。どうして桐たんすは人気なのでしょう。

通気性が良く着物のカビ防止

木製のタンスの強みとしては「通気性の良さ」が挙げられます。特に「桐」は通気性に富む素材として、古くから日本では好まれてきました。木は自分自身が膨張したり収縮したりして、湿気を調整する役割を持っています。乾燥した時期には縮んで通気性をより良くしてくれますし、湿度の高い時期には膨張し、湿気をタンスの外側まででとどめてくれるのです。

着物の収納・保管では、繊維にカビ菌を生やさないことがとても重要になります。通気性に優れた桐たんすは、カビ対策という意味で頼りになる存在なのです。

香りで着物の防虫効果

今では和家具を取り扱うお店が減ったので、桐たんすを実際に見たことが無いかたも多いかもしれませんね。新しい桐たんすからは、爽やかな桐の香りがします。ウッディなアロマの香りを思うかべていただくと近いのではないでしょうか。

この「桐」の爽やかな芳香には、虫食いの原因となるヒメマルカツオブシムシ等を寄せ付けない効果があると言われています。特に正絹(シルク)やウール等の動物性繊維で作られた着物は虫食いの被害に遭いやすいので、防虫効果がある素材のタンスは心強いというわけです。

引き出しタイプは着物を保管しやすい

和ダンス(桐たんす)は、その多くが着物を畳んだ時のサイズ感にあわせて作られています。着物をタトウ紙に包み、引き出しを出してしまえば良いだけなので、着物の出し入れがカンタンです。着物の枚数が多くなってきた人は、和ダンスタイプでの保管・収納を検討されると良いのではないでしょうか。

着物を桐たんす収納するデメリット

様々な魅力がある桐たんすでの着物の保管・収納ですが、良い点ばかりとは言えません。着物を桐箪笥で収納するデメリットについても知っておきましょう。

桐タンスは場所を取る?

着物をまとめて収納できるのが魅力の桐たんす(和ダンス)ですが、設置には意外と場所を取ります。というのも、通気性を考えた場合、タンスをピタッと壁につけるのはNGだからです。ある程度のゆとりをもたせて設置をするので、置き場面積をくいます。

桐箪笥の奥行きは大体45センチ~50センチが基本ですが、5センチは後ろを開けた方が良いので、50~55センチ以上の奥行きが必要と考えてください。また幅は小ぶりのチェストタイプでも最低106センチはあります。

桐たんすは置き場所が難しい?

いくら上質な桐たんすでも、設置場所が悪いと着物をダメにしてしまいます。次のような場所には桐箪笥の設置は不向きです。

× キッチンや風呂場等の水回りが近い
× 湿気がこもりやすい
× 納戸や物置の奥などで空気が溜まりやすい
× ガラス窓を通し、常に太陽光があたっている

できれば次のような場所が理想的と言えます。

◎ 一戸建ての場合は2F以上
◎ 水回りから遠い
◎ 窓があり通気が良い
◎ 直射日光は当たらない

ただこの設置場所、昔のような広い日本家屋であれば割と「理想のタンスの置き場」があったものなのですが……現代の住宅事情ではなかなか難しいと言わざるを得ません。

購入費用がかかる

桐たんすの最も大きな難点としては、やはり「価格が高い」という点が挙げられるでしょう。大手インテリアメーカーなどが作る比較的お手軽なチェストタイプの製品でも7~8万円台はします。職人が作る本格的なタンスになれば、数十万円です。

昔は桐たんす(和ダンス)は嫁入り道具のひとつとされて、一生モノとして親が用意をするものでした。しかし現代では嫁入り道具を準備するご家庭も少ないですし、家具自体の価格もリーズナブル嗜好になっています。その文化に慣れた世代からしてみると、やはり「桐たんすは高い」と感じられることでしょう。

防湿防虫対策は別途必要

現代に桐たんすを使う最後のデメリットとしては、「防虫防湿対策は他にもしなくてはならない」という点も挙げられます。「えっ!?桐は通気性も良くて虫よけ効果もあると言ったでしょう?」と思った人も多いのではないでしょうか。

確かに桐たんすは防虫・防湿効果に優れた製品です。昔ながらの通気の良い木造日本家屋であれば、桐たんすだけでも着物を守れることでしょう。

しかし現代の日本では、家屋の作りが大きく変わってしまいました。コンクリート製の住居は木造に比べ、湿気がとても溜まりやすいです。いくら上質な桐たんすでも、それだけで湿気対策が完璧…とは言いづらいところがあります。

防虫剤を入れる、防湿剤(湿気取り)を入れるという対策は、桐たんすでも別途必要です。もちろん他の保管方法に比べれば、格段に桐たんすの防虫・防湿効果は良いです。しかし「他に何も対策しなくて良い万能の保管方法ではない」ということは、知っておいた方が良いでしょう。

桐たんす収納以外の着物の収納法は?

参考までに、桐たんす以外での着物の収納・保管についても解説していきます。

桐の衣装箱で収納


キャスター付き桐衣装箱 5段 高さ54cm 隅金具付

桐製の衣装箱はタンスに比べて価格が安いのが魅力です。最近ではクローゼット等に入れやすいタイプも登場しています。

通気性や防虫性という意味でも桐箱はやはり頼れる存在です。着物が数枚以内という人ならば、衣装箱でも十分でしょう。

ただ製品によっては女性が持ち上げるには重かったり、出し入れがしにくいものもあります。デザインや重量もよく調べて、自分に合ったものを選ぶことが重要です。

布の衣装箱で収納

布の衣装箱(衣装ケース)は、木製に比べてリーズナブルな価格帯が魅力です。通気性も比較的良いので、きちんと「防虫剤」や「除湿剤(除湿シート等)」を入れて対策していけば防虫防湿対策も期待できます。

ただし着物の枚数が増えてきた場合には考えものです。布の衣装ケースを積み上げるのはあまりおすすめができません。布ケースは型崩れがしやすく、積み上げた重量で下の着物が押しつぶされる事例が多々あります。

保管している間に余計なシワができたり、押しつぶされて通気性が悪くなり、カビ等の原因となることも。枚数が増えてきたら、木製ケースやタンス等の購入を検討した方が良いでしょう。

プラスチック収納は?

安く手に入られるのが魅力のプラスチック収納(プラスチックケース)ですが、基本的に着物の収納にはおすすめができません。とにかく通気性が悪いのが問題です。

どうしてもプラケースを使いたい場合には、大量に除湿剤(湿気取り)を入れて、頻繁に取り替えるようにしてください。ただし、そこまで対策をしてもカビくさい着物等は症状が重くなりやすいので注意しましょう。

着物専用の収納袋も


着物収納袋 ホワイト 2方開き 5枚組 透明窓あり 不織布 ファスナー式

着物の枚数が少なくて手軽に収納したい…という場合には、着物専用の収納袋を使う手もあります。価格帯も1,000円~2,000円前後と安めで、幅を取らないのが魅力です。

ただし着物は平らに収納・保管する必要がありますので、その点にはご注意を。クローゼットの中等でムリに押し込んだりすると、型崩れや保管中のシワ等の原因となってしまいます。

おわりに

着物を桐たんすで収納・保管するメリット・デメリットについて解説しましたが、情報はお役に立ちそうですか?

最近では専門業者による着物のお預かりサービスも登場し、着物の保管に困っている人たちから注目を浴びるようになりましたね。

当店『着物ふじぜん』でも、着物クリーニング後のお預かりサービスを始めています。「着物を保管しておく場所が無い」「適切に保管中のお手入れができるか不安」といった時には、どうぞお気軽にご相談ください!

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吉原ひとし


着物ケア診断士 吉原ひとし


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