着物は一度ハマると増えていく…とよく言われますが、同時に増えていきやすいのが和装小物類です。帯締めや簪等の髪飾り、草履等が増えてしまい、「和装小物の収納に困っている」という方も多いのではないでしょうか。
和装小物は収納法を間違えると「片付かない」というだけでなく、保管中に劣化等を招いてしまうことがあります。和装小物類をスッキリと片付けるということはもちろん、次回にも安心して使えるように収納・保管しておきたいですね。
帯締めの収納
和装小物の収納法の中でも、お困りの方が多いようなのが「帯締め(おびじめ)」の収納・保管です。適当に収納していたらダメになっていた…という方もいるのでは?NGな収納法、おすすめ収納法をそれぞれ見ていきましょう。
NGの帯揚げ収納方法例
× 適当に束ねて収納
× ビニール、ナイロン系の袋に収納
× 巾着袋等に収納
帯締めは房の形をキレイにキープしておくことが大切です。袋ものに収納をするとどうしても房が傷みやすいので、おすすめできません。またビニール、ナイロン等、通気性の袋に入れるのも×!帯締めの素材によっては、カビ等の他、虫食い等のリスクを増やす可能性が高いです。
おすすめの帯揚げ収納方法
平らな木箱や紙箱がベスト
帯揚げをまとめてしまうには、平らで浅い木箱・紙箱等を使うのが理想的。紙や木製の箱は比較的通気性が良いので、良質な帯揚げの変質・劣化等を防いでくれます。ちょっとこだわりたい人には、木製の帯揚げ用保存箱等もあります。一本ずつ保管ができるように仕切りが付いているので、スッキリと帯揚げを保管することができますよ。
和紙とマステでまとめるとラク
仕切り付きの箱まで買うのは大変そう…という人は、和紙とマステを使って帯揚げをまとめてみましょう。房の部分をクルリと巻いてマステで止めればよいだけなので、とてもカンタンです。和紙は吸水性が良いので、湿気防止の効果も得られます。
コードチューブなら安価でしっかり
「帯揚げの房が傷んでしまいそうで怖い」という人には、しっかりとしたコードチューブで帯揚げをまとめるのがオススメです。コードチューブを使うと帯揚げをクルリと束ねるだけでなく、房の部分の保護もできます。
最近ではコードチューブは100円均一ショップで買うこともできるようになりました。コストをかけずに帯揚げの保護ができるのは助かりますね。ただ全体をぐるぐる巻きにしすぎると通気性が悪くなりますので、房部分の保護と中心部等、ポイントを決めて巻きつけるようにすると良いでしょう。
簪・髪飾りの収納
嵩張ることが多い簪(かんざし)や髪飾り類の収納についても見ていきましょう。
NGの収納方法
× ポーチにまとめて入れている
× 缶にそのまま入れている
× コップ等に挿している
簪や髪飾り類は、まとめてゴチャッと入れてしまうとお互いがぶつかりやすく、傷がついてしまいやすいです。また昔の方ですと缶に髪飾りを入れている人も多いのですが、これもそのままの保管だと傷が付く元に。
また、コップ等に挿して外置きにしていると、細かな意匠のものだとチリ・埃が付く原因になります。さらに木製のもの等だと、部分的に日焼けをして褪色する恐れも。高価なものは「外置き」にしない方が良いです。
おすすめの簪収納法
かんざし袋にまとめておく
「かんざし袋」はかんざしを挿してまとめておくための布の袋です。簪が動かないようにある程度の固定ができ、布によるクッション性もあるため、簪に傷が付くのを防いでくれます。端切れを使って、かんざし袋を手作りされる方も多いです。
筆入れやペンケースを使う
簪袋だとやや高価なものも多く、たくさん準備するのは大変なもの。そんな時には、筆入れやペンケース、ブラシケース等を「かんざし袋」として使ってみるのも良い手です。
最近では100円均一ショップでも、布製のペンケースやブラシケース等が多く出回るようになりました。安価なのでまとめて購入しやすいですし、ブラシケース等であれば固定もしやすく、傷が付くことと防げます。
草履の収納方法
今度は足元の「草履」の収納方法についてです。
NGの収納方法
× 畳めるシューズラックに入れる
× アクリル製の靴箱に入れる
まず引き出しタイプでたためるシューズラック(マンション等の玄関に多いタイプ)に草履をしまうのは絶対にNGです。草履にははヒール靴のような踵部分の引っ掛かりがほとんど無ありません。そのため畳めるタイプのシューズラックに入れると前部分が強く押されることになり、型崩れを起こします。
またアクリル製等、クリアケース系の靴箱に入れるのもあまりおすすめができません。通気性が良くないため、草履の素材によっては激しく劣化を起こす可能性が考えられます。
おすすめの草履収納法
不織布や布製ボックスが理想的
草履の収納には、布製や不織布の草履サイズのシューズボックスを使うのが安心。最近では小窓が付いた草履専用のボックスも登場していますので、よく使う草履等はこのようなボックスに入れても良いでしょう。
吸湿剤を入れると安心
草履の収納時には、ボックスの中に吸湿剤を入れておきましょう。特に布製の草履はカビ等のトラブルが起きやすいので、こまめに吸湿剤を取り替えてカビ予防をすることが大切です。
鼻緒キーパーを入れておく
鼻緒キーパーとは、草履の鼻緒の部分に挟んで、鼻緒の形を整えるための道具です。これを挟んでおくと鼻緒が型くずれしないため、見た目に良いだけでなく、次に履く時にも履きやすいのが魅力。
また近年では竹炭入り等、消臭効果がある鼻緒キーパーも登場しています。大切な礼装用の草履等には、消臭・防虫等の機能性が高い鼻緒キーパーを入れておきたいですね。
まとめて「お預かりサービス」を使う手も
「着物を頻繁には着ない」という人の場合、帯揚げや帯締め、草履・バッグ等、和装小物類の収納や保管が難しく、とても困っているというケースもよくあるようです。
こんな時には「お預かりサービス」を使ってみるのも手です。
お預かりサービス(保管サービス)とは
クリーニング店や呉服店等が、次に着る時にまで衣類をお預かり(保管)するサービスです。「衣類をしまっておくスペースが無い」「カビや湿気・虫食い等のトラブルが心配」という場合でも、衣類のプロに安心して衣類の長期保管をおまかせできます。
着物類の保管は専門店が安心
着物や和装小物類を「お預かりサービス」で保管してもらうのであれば、着物を専門に扱うお店のサービスを選ぶのをおすすめします。洋服と着物だとメンテナンス方法にも違いがあります。また草履や帯揚げといった和装小物独特の保管についても、専門店であれば扱いに慣れているからです。
最近では着物や羽織だけでなく、和装小物もまとめてお預かりするお店も増えてきています。和装小物の保管・収納にお困りの時には、選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
おわりに
和装小物の保管や収納について解説しましたが、情報はお役に立ちそうでしょうか。最近では「省スペースの収納」等については情報がたくさん出回るようになっているのですが、昔に比べると「通気性」について気にする人が減っているようです。
着物や和装小物の場合、通気性(カビ防止や虫害の防止)はとても大切なポイントになります。保管アイテムの安価さや省スペース性だけでなく、風通しが良いか、虫等からキチンと守ってくれるかどうか等にも気を配ってみてくださいね。