赤ちゃんの初めての正式なイベントでもあるお宮参り。大切な行事ですからキチンと行いところですが、お宮参りの時期をいつにしたら良いのかと頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。
目次
1分でわかるお宮参りの時期
時間の無い人のために、お宮参りの時期について結論から書いていきますね。
お宮参りの時期
- 正式な期日:生後1ヶ月前後の地域が多い
- 現在のスタイル:生後3ヶ月位までに済ませる人が多い
例えば「誕生日」や「記念日」のように「この日でなくてはいけない」といった明確な期日があるわけではありません。ある程度は都合を見ながら前後させるご家庭が多いです。
ただし、お宮参りは「地域性」が強い行事でもあります。ローカルルールで「生後何日目、何ヶ月目」がキッチリ定まっている地域もあるので注意が必要です。
では次の項目から、より詳しい解説をしていきます。
お宮参りの正式な時期は「生後1ヶ月」
お宮参りの正式な日取りについては、次のように考えられている地域(神社)が多いです。
お宮参りの正式な日取り
- 男の子の場合 → 生後31日~32日
- 女の子の場合 → 生後32日~33日
(地域により、日数が多少変動する場合があります)
性別による日数の違いはあるにせよ、おおむね「生後1ヶ月」がお宮参りの時期の目安ということになります。
赤ちゃんが外出できる時期でもある
生後1ヶ月は、現代では赤ちゃんの1ヶ月検診が行われる時期です。検診で運動能力や視覚能力等が詳しく確認され、身体に問題が無いかをプロの目で判断されます。
また母親の健康状態も確認されるので安心度が高まります。「お宮参り=1ヶ月検診が終わった頃」としておけば、赤ちゃんもママも元気な体でイベントに臨むことができるというわけです。
昔は一ヶ月検診があったわけではないですが、やはり「生後1ヶ月位経つと赤ちゃんを外に出しやすい」という慣習があったのでしょう。伝統的な行事には、それなりの「意味」が隠されているのですね。
百日祝い=お宮参りの地域も
ではお宮参りの時期は全国的に生後1ヶ月なのか?というと、そういうわけでもありません。地域によっては生後3ヶ月前後、「生後100日」をお宮参りの時期としているところもあります。
百日祝い・お食い初めとは
「百日祝い」という赤ちゃんのイベントがあるのをご存知ですか?生後100日を迎えた頃に、鯛やお餅等の晴れの日の膳(ごちそう)を用意して、赤ちゃんに初めての「固形物」を食べさせる行事です。
この行事は「お食い初め(おくいぞめ)」とも言います。初めて食事をする時に「良いもの」「めでたいもの」を食べることで、一生食べるのに困らないように……と家族が願いを込める行事なのです。
日本の一部地域では、この「百日祝い」と「お宮参り」を同日に行う風習があります。つまりお宮参りで神社に行き、家に帰ってきてから鯛等のごちそうを食べる「祝い膳」でお食い初めをするというわけですね。
生後7日でお宮参りする地域も?
さらにお宮参りの時期についてたどっていくと、日本の一部地域では「生後7日」でお宮参りをするところもあります。「お七夜(おしちや)」とお宮参りをまとめて行うというわけです。
お七夜とは
お七夜(おしちや)は、赤ちゃんに名前を付けて、神様や近隣の人々に顔と名前をお知らせする行事です。平安時代頃から続く古い催事であり、赤ちゃんが生まれてから七日目に名前を決めて、家族や近隣の人たちとともにご馳走を食べ、お祝いをするという内容でした。
地域によってはこの「お七夜」の際に近所の神社(産土神様、氏神様)にまで赴いてお詣りをするところもあります。この地域ではこれを「お宮参り」に含めるので、生後1ヶ月(3ヶ月)頃のお宮参りは行いません。
「お宮参り」は平安時代~鎌倉時代には定着し、各地域で根付いた行事です。そのため地域性がとても強く「日本全国の統一ルール」がありません。
「周囲の多くが生後100日でお宮参りをしている」「生後まもないうちに近所の神社でお宮参りを済ませるようだ」といった地域独自の風習があれば、近隣の方たちによく確認をしておいた方が良いでしょう。
現代的な考え方では「生後3ヶ月頃まで」
お宮参りの時期については、現在の生活スタイルに合わせ、徐々にフレキシブルな考え方が主流となってきています。大都市圏を中心にした現代的なお宮参りでは「生後3ヶ月頃までを目安にする」というご家庭が増えているようです。
「ママの参加」が大きな変化の要素に
大昔のお宮参りは、主役は赤ちゃんで、その脇役として参加するのは父親、父方祖母、父方祖父等の父方家族でした。赤ちゃんを生んだ母親の体はまだ「産後の穢」の時期であるとして、母親は不参加とする地域も多かったのです。
しかし時代が移り変わり、現代ではお宮参りは「家族のイベント」となっています。主役が赤ちゃんであることは当然ですが、赤ちゃんの大切な親である『母親』が参加することは必須となったわけです。
生後2週間~1ヶ月頃だと、まだママの体が出産時のダメージを負っていたり、慣れない育児で疲れ切っていることもあります。赤ちゃんだけでなくママの体調も考えて、生後3ヶ月頃までを目安にフレキシブルにお宮参りの時期を変化させていくご家庭が増えたのです。
核家族化も影響
1980年代ころからの核家族化も、お宮参りの時期に大きな影響を与えるようになりました。大都市圏で若いご夫婦が子どもを生んだ場合、祖父・祖母が赤ちゃんに会えるのがお宮参りのときが初めて…というケースも多々あります。
近年ではお宮参りの際に、父方・母方両方の祖父母が揃いって祝の膳を囲み、親族全体での行事とするご家庭も見られるようになってきました。
離れた場所に暮らす家族が集まるには、スケジュールにもある程度余裕があった方が良いものです。「お宮参りの時期は生後3ヶ月位までの方が良い」とするご家庭が増えたのも、当然と言えるでしょう。
天候や気温のことも考慮して
現代にお宮参りを行う場合、昔とは違う「天候」や「気温」についても配慮をしてお宮参りの時期を決める必要があります。
真夏のお宮参りは避けよう
50年前(昭和40年~50年代)と現代では、真夏の最高気温は4℃~5℃以上も違います。令和の真夏では、35℃を越える「猛暑日」が頻発するようになりました。
このような厳しい暑さの中でお宮参りを行えば、赤ちゃんや母親の体調が悪くなる可能性も高いです。「生後1ヶ月、3ヶ月」等よりも、家族のみなさんが快適に過ごせる期日を重視した方が良いでしょう。
特に赤ちゃんやご家族が着物を着る場合、洋装の時に比べて体感温度は2℃~3℃近くは上がります。その点も考慮してスケジュールを立てた方が安心ですよ。
梅雨や台風の時期も要注意
お宮参りに赤ちゃんやご家族が和装される場合ですが、梅雨や台風の時期にも十分に注意が必要です。
着物は洋服に比べてとても「雨濡れ」に弱い衣類です。正絹(シルク)でできた礼装用着物は雨濡れで「水シミ」ができたり、激しい濡れだと縮んで元に戻らなくなることがあります。
できれば雨が多い時期は避けるか、雨の場合に気軽にスケジュールを順延できるように計画を立てておいた方がよいでしょう。
おわりに
お宮参りの時期について、従来の正式な日取りから地域による違い、現代的な考え方等、多角的に解説をしてみましたがいかがでしたか?お宮参りの時期を決める参考となれば幸いです。
なお、「お宮参りの時期はいつでもいいから」と言ってあまりにも後伸ばしにするのには要注意。放っておいて1才の誕生日が来てしまった…といったことにならないよう、早めにスケジュールを立てておきましょうね。