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袷・単衣・絽等の薄物。季節に合わせた着物の着こなしを知りましょう

季節の着物 絽 薄物

洋服に半袖や長袖、ノースリーブといった「冬物/夏物」があるように、実は着物にも季節に応じた種類があります。また夏にサンダルや麦わら帽子を合わせたり、冬にファー小物を身につけるように、着物に合わせる「帯」も実は季節感を演出する大切な要素なんです。今回は「袷(あわせ)」「単衣(ひとえ)」と「絽の着物(薄物)」の見分け方や着る季節、帯の合わせ方、また結婚式での着物の問題等についてご紹介していきます。

袷の着物とは?見分け方や着る季節

袷の着物の見分け方

袷(あわせ)の着物とは、その名の通り生地を二枚合わせている着物のこと。表の裏の生地が異なるので、着物の裾をめくってみれば一目でわかります。浴衣のように一枚ではないので、いわゆる「透け感」が無いのが特徴。2枚の布を合わせている分だけ空気がこもりやすく、比較的暖かく着ることができます。

袷・単衣・絽(夏単衣)の中では最も着るシーズンが長い着物であり、お正月や成人式等に身につける晴れ着も袷ですから、一般的に見られる着物の中では最も「袷」が多いと言えます。

袷の着物を着る季節

旧来の衣替えでの考え方 10月頃~翌年5月頃まで
近年の衣替えでの考え方 10月中旬頃~翌年4月下旬頃まで

袷の着物は暖かい時期には来ません。答えはカンタンで、生地を重ねた袷の着物では夏場が暑いため。着用者が辛いだけでなく、透明感の無い袷の着物は見た目にも暑苦しく見えます。秋口~春先まで着るのが「袷」というわけですね。旧来の衣替えでは「10月~翌年5月」というのが袷を着る一般的な季節とされており、フォーマルの場等ではこのルールを守る方も多いですね。しかし近年では10月も終わり頃から袷、4月いっぱい程度を「袷のシーズン」とされる方も増えています。

これは昔の日本に比べて、平均気温が上がっているため。袷の着物は22~23℃を超える頃になるとかなり暑いため、5月に袷を着るとかなり辛い…ということもあるんです。お茶席・式典といった特別な場は別として、普段のお出かけ着・観劇等であれば現代の気温に合わせた着方をしても問題ありません。

 

単衣の着物とは?見分け方や着る季節

単衣の着物の見分け方

単衣(ひとえ)の着物とは、袷とは異なり「生地一枚でできている着物」を意味します。単衣の着物に使用している生地は基本的に袷の着物と同じなのですが、裏地が付いていないので軽くて涼しいのが特徴。ジャケットや薄手のコートなどでも、裏が無い一枚仕立てだと軽くて涼しいですよね。単衣の着物もこれと同じで、洋服では薄手の羽織ものを使うことが多い、季節の変わり目に用いられる着物なんです。

またカジュアル・普段着向けの木綿着物、ウール生地の着物は、裏地を付けずに一枚で仕立てるのが一般的。そのためこれらの着物も「単衣」の範疇に入ります。

単衣の着物を着る季節

旧来の衣替えでの考え方 6月、9月
近年の衣替えでの考え方 5月下旬頃~初夏、9月~10月頃(カジュアルの場合)

単衣は春と初夏、晩夏と初秋といった季節の間に使われる着物です。

原則的には「6月」そして「9月」に用いられます。ただし必ずしも6月でないとダメ!というわけではなく、例えば5月下旬でも日差しが厳しく暑い日であれば単衣を用いてOK。また近年では10月初旬頃にも暑さが厳しい時期もあるため、この頃まで単衣を着用される方も居ます。

式典やお茶会といったフォーマルな場では単衣を着る季節は短めですが、カジュアルの場合だと使用される季節は意外と広め。デートやお友達同士でのお出かけ、お買い物といった街着としてお着物を着る場合、「袷では暑すぎる」という時に着る単衣の着物は重宝します。

 

絽の着物・薄物の着物とは?見分け方や着る季節

絽の着物・夏単衣の見分け方

「絽(ろ)」とは何本かの縦糸を撚り合わせつつ横糸を入れて織った織物のことで、他の素材に比べて織り目が荒く、透け感があるのが特徴です。いわゆる「シースルー素材」のような雰囲気ですね。着物に手を入れてみて、ストライプの用に透けたらほぼ「絽」の着物ということになります。

涼しげな絽の着物は、その薄さ・軽さから「薄物(うすもの)」と呼ぶことも。薄物という場合には、絽の他に「紗(しゃ)」で作られた着物等も含まれます。紗は縦だけでなく横の織り目も粗目で、ネットのように透けるのが特徴。絽が夏向けのフォーマルにも使われるのに対し、紗の夏単衣はセミフォーマル・カジュアル等に用いられます。なおシースルー風(透け感)がなくても、麻が用いられた着物の場合には「夏もの」の範疇に入れられます。

絽の着物・夏単衣を着る季節

旧来の衣替えでの考え方 7月、8月中旬頃
近年の衣替えでの考え方 6月下旬~8月(+9月初旬)

涼しげで軽い絽の着物は、その名の通りとても暑い「盛夏」(夏の盛り)」のために用いられる着物です。かつては7月・8月の着物とされてきましたが、近年では平均気温の上昇に伴い、「6月下旬頃の使用もOK」とする考え方が浸透しつつあります。6月下旬でも最高気温が25℃を超えるような夏日であれば、「夏向け」の着物を着て良いではないか…というわけですね。

なお9月の着物については、6月頃に比べるとちょっと異なります。暑さ的にはまだまだ残暑厳しいころではあるので、「9月下旬頃まで絽を着たい」と思う方も多いと思うのですが…9月に入ると、洋服も「秋色」を意識した物が増えませんか?着物のオシャレもこれと同じで、常に「季節を少し先取りする」というのがオシャレの基本。いかにも夏物!といった透け感のある絽の着物は、「季節遅れ」といった印象を与えてしまうこともあるんです。

近年では9月初旬頃までは絽でもOKという考え方になってきていますが、9月も中旬頃になったら単衣に切り替えた方が無難。また麻素材・透け感の強い素材の場合には、8月いっぱいまでを着用シーズンと考えた方が良いでしょう。

 

袷・単衣・絽の着物に合わせる帯は?

着物をシーズンによって使い分けるように、帯合わせでも季節感を演出することが大切。袷・単衣・絽のそれぞれに合わせる帯についても知っておきましょう。

袷の着物に合わせる帯は?

・袋帯
・博多帯(紋織り)
・博多帯(献上博多帯)
・名古屋帯(九寸名古屋帯・染名古屋帯)等

※正絹、ウール等で、「塩瀬」のように透け感が無い織り方

袷の着物には、二枚の生地を重ねて作った「袋帯」等のボリューム感のある帯を合わせるのが一般的。またオールシーズン使える献上博多帯等は、いつでも使えて重宝します。袷の場合、「夏向けでないもの」であればほぼ使えると考えて良いでしょう。絽や紗等の透け感のある素材、涼やかな色柄、麻素材等は「夏向け」となるので袷には合いません。

単衣の着物に合わせる帯は?

単衣は初夏の時期に着るものと、夏の終わり~秋口に着るもので、それぞれ合わせる帯が変わります。

洋服でも春物と秋物って、選ぶ色や素材がちょっと違ったりしますよね。それと同じで、初夏と秋でも帯選びにちょっとした違いがあるんです。

【6月の場合】
・名古屋帯
・単衣帯
・染帯
・半巾帯
・夏帯(絽・絽綴、紗、絽縮緬など)

単衣を5月頃に着る場合には、合わせと同じ帯でもOK。ただそろそろ暑さを感じる頃なので、生地が薄めの名古屋帯等で、涼し気な色柄のものを選びます。6月に入ったら、「季節を先取り」ということで夏帯を合わせてもOK!シーズンを一歩先どったオシャレが、着物上級者感を演出してくれます。夏帯については下項の「絽の着物」でも詳しくご紹介しますので、合わせてご参照ください。

なお「半巾帯」には浴衣用のペラペラとしたものもありますが、これを初夏の単衣(着物)に合わせるのはNG!ボリューム感や質感がおかしく見えてしまうので、浴衣専用のものは避けてくださいね。

【9月の場合
・八寸帯(八寸名古屋帯)
・半巾帯
・染帯 等

秋単衣を着る頃は、まだちょっと暑い時期。でも夏ものの帯は「まだ夏物を着てる!」という季節遅れの雰囲気が出てしまうので避けます。またあまり重すぎる冬物帯を締めてしまうと、単衣の軽やかさに対して帯のボリューム感が今ひとつ、ということも。一枚仕立てで芯を入れずに作られた八寸帯等を合わせるとボリューム感もちょうど良くなります。

夏単衣の時にはブルー系等の爽やか・涼し気な色柄が好まれますが、秋単衣の場合には「秋らしいな」と思われるこっくりとした黄色や深い赤、カーキ、紫等の色味が好まれます。まだ薄い着物だけれど、気分は秋!というのを意識すると良いでしょう。

絽の着物(薄物)に合わせる帯は?

・絽
・絽塩瀬(ろしおぜ)
・麻
・羅(ら)
・紗
・麻素材 等

真夏に着る絽の着物(薄物)には、やはり透け感の強い絽や紗、羅等の素材の帯を合わせます。いずれも透け感が強いので、「中に入っている芯が透けて見えるな」と思ったら夏帯と考えてほぼOKです。なお麻が含まれる帯は通気性が高いため、織り方に透け感が無くても「夏物」として扱われます。

また「絽」でも全体にシボを出した「絽縮緬(ろちりめん)」はボリューム感がありやや暑苦しいので、真夏には使用しません。こちらの織り方の帯の場合には、6月頃に着る単衣(夏単衣)に合わせた方が良いでしょう。

 

夏の結婚式、絽の着物じゃないとダメ?

上記の「着物の季節による使い分け」を読んで、「えー、夏には夏の礼服を支度しないといけないの??」と思われた方も多いのではないでしょうか。7月・8月の結婚式のために、わざわざ絽や紗の留袖や訪問着を仕立てる…これ、意外と大変ですよね。

結婚式の場合、袷(あわせ)の留袖や訪問着でもそこまで問題はありません。というのも、結婚式場内は礼服用のスーツ等をお召しの方のために、冷房がよく利いていることが多いもの。また式場への移動等も徒歩や公共機関ではなく、車をお使いになる方が多いです。そのため袷を着ていても、「暑くてたまらない」ということがあまり無いんですね。

また絽の留袖をお持ちという方でも、「結婚式には敢えて袷」という方もいらっしゃるのだとか。これ、実は「絽や紗が写真では透けてしまう」という問題があるからなんです。

人間の目で見た時には「シースルー」に見える絽や紗は、写真撮影のライトでは色が飛んでしまうことが多くあります。

そのため後から出来上がった写真を見ると白い長襦袢一枚を着ているように見えてしまう…こんな恐れがあるんです。式場内や全員での記念撮影といった「写真撮影」が多い場では、敢えて透け感の無い袷を選んだ方が安心ということもあります。

夏物の長襦袢で暑さ対策

本来の着物の着方では、袷の着物には袷の長襦袢、単衣の着物や薄物には夏用の長襦袢を合わせるのが一般的であり基本とされています。でも裏地のあるしっかりとした長襦袢を付けて、更に袷の着物を着るとさすがに暑い…ということも。

快適に結婚式を過ごすために、長襦袢だけを夏物に切り替えてしまうというのも手です。ただ半襟が夏物のままで袷の着物に合わせると、半襟だけが浮いてしまうということも。半襟だけを秋・冬向けのものに付け替えておけば、全体の印象を無難にまとめることもできます。

ご自宅にある留袖を単衣に仕立て直す

上記では「結婚式でも袷で大丈夫」という話を書きましたが、これは従来の室内型の結婚式場の話。近年人気のガーデンウエディング、テラス等でのレストランウエディング…といった屋外・半屋外型の結婚式ということになると、袷の着物では暑さが辛い方も多いかもしれません。

こんな時、お母様やお祖母様が持っていらっしゃった礼装用のお着物を「単衣」に仕立て直してみてはいかがでしょうか?単衣の着物は原則として袷と生地が同じですので、仕立直しをすることで「単衣」として着ることが可能です。裏地を外して一枚にすることで軽さ・涼しさが出て、5月下旬頃~9月頃の礼服として活躍してくれます。

結婚式向けの礼装着物の場合、通年使用できるような柄行になっていることがほとんど。単衣にしても夏場に問題なく着用することができます。「単衣にして、着物が痛みやすくなってしまったらどうしよう」とご心配な場合には、ヒップ部分にあてて着物の強度を高める「居敷き当て(いしきあて)」を付けると安心です。

冬用・夏用の礼装着物をいずれも新調するのは大変ですが、ご自宅にある袷を単衣に仕立て直すのであれば費用も抑えられます。仕立直しは呉服店等の他、着物の専門のクリーニング店等でも相談が可能。「ご自宅に眠っている礼装着物もある」という場合には、お仕立て直しを考えてみるのも手です。

 

おわりに

季節に合わせた着物の着こなし、いかがでしたか?お茶席や日本の伝統芸能関連等の場合ですと、従来の衣替えの考え方が根強く残っていることもあります。しかしオシャレ着として着物を着る場合等には、そこまで「昔の感覚」を重視せずとも構いません。気温に合わせて快適に着物を着ること、ちょっと先取りの季節感のオシャレを楽しむこと…そんな点を大切にしていけば、自然と着物選び・帯合わせ等の感覚がわかってくるのではないでしょうか。色・柄・素材…様々な要素で季節感を味わえば、着物のオシャレが一層楽しくなるはずですよ。

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プロフィール

吉原ひとし


着物ケア診断士 吉原ひとし

着物の染み抜きやお直しをする場合、加工内容や料金は検討がつかないと思います。お近くに専門店があれば安心ですがシミや汚れを見てもらったが、無理だと言われ諦めてしまう方が多いのです。遠方にお住まいの方はお電話又はメールでご相談いただければ、無料にてアドバイスさせていただきます。クリーニングやお直し以外でも着物の事ならお気軽にご連絡ください。

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