「昔の着物が体に合わなくなって着られない」「娘や孫に着物をあげたいけれど、身長が違うし…」こんな理由で、昔の着物をタンスにしまい続けていませんか?
品質の良い着物は、仕立て直しをすれば何十年も着られるものです。仕立て直し・寸法直しで、昔の着物を「いま、オシャレを楽しめる着物」へ蘇らせてみましょう。国内での仕立てにこだわる着物加工専門店『ふじぜん』の技術力におまかせください。
目次
着物のお仕立て・再仕立て・寸法直しとは?
着物の「仕立て」とは、反物(たんもの:布の状態)から着物へと縫い上げることを言います。日本では元々、現在の既製服のような服の販売方法がありませんでした。反物を買って仕立て屋で仕立ててもらうか、ご自宅で仕立てるか。着物は布を買ってから作る、オーダーメイド服だったのです。
昔の日本人は、「着物」や「布」を大切に使い続けていました。サイズが合わなくなったら、寸法直しをして現在の体のサイズに合わせて。色柄が年齢に合わなくなったら、仕立て直して家族の着物に…。着物は何度も仕立て直されながら、何十年もの間、ご家庭で受け継がれていったのです。
・再仕立て(さいしたて):一度着物に作り上げたものをほどいて反物の状態に戻し、もう一度着物に仕立てることを言います。「仕立直し(したてなおし)」とも呼ばれます。
・寸法直し(すんぽうなおし):現在で言うところのサイズ調整のこと。袖等の部分的なサイズ直しと、裄丈(ゆきたけ)・身丈(見立て)等を含む全体的なサイズの変更があります。全体的なサイズ変更の場合は、着物をすべて解いて「再仕立て」を致します。
こんな時には再仕立て・寸法直しを!
着物のサイズが合わなくなった
・腰回りが昔に比べてふくよかになった
・若い頃に小柄になって着物がブカブカになった 等
年齢を重ねることで、体系や身長は少しずつ変わっていくものです。「寸法直し(サイズ直し)」をして、現在の自分の体にピッタリと合うサイズに作り直しましょう。
着物の場合、大きな着物を小さく作り直すのはもちろん、縫込みがあれば小さい着物を大きく仕立て直すこともできます。腰回りがキツイ場合、腰を幅出し(はばだし)すると動きやすくなり、着姿も美しくなります。
家族に昔の着物を譲りたい
・孫の身長が自分より10センチ以上高い
・娘の身長が自分より10センチ以上低い 等
娘さんやお孫さんの成人式に昔の振袖を譲りたい…というお母様やお祖母様も多いはず。着物の持ち主の方と譲られる方の身長差が10センチ以下なら、女性の着物は「おはしょり」で調整ができます。
しかし10センチ以上も背が違う・体格が大きく違う場合には「寸法直し」をしましょう。現代の女性の体格に合わせて大きく仕立て直すことも可能です。
袷の着物を単衣にしたい
袷(あわせ)の着物はたくさんあるのに、季節の変わり目に着る単衣(ひとえ)の着物があまり無い…そんな時には、袷の着物を単衣に仕立て直してみてはいかがでしょうか?裏地を取ることでサッパリと着られます。
振袖を訪問着にしたい
独身女性の礼装である「振袖」(ふりそで)。しかし長い袖をお直しすれば「訪問着」として生まれ変わり、独身女性もミセスも着こなしていただけます。訪問着であれば観劇や式典等、振袖よりも幅広いシーンにお召しいただけるのも魅力です。
着物を羽織やコートに直したい
今ひとつ使いにくかった着物が、「羽織」や「コート」として仕立て直すとグッと魅力的に変わることも。眠っていた着物を別のアイテムへと蘇らせてみませんか?
洗い張り後の再仕立て
着物のシミや汚れの状態がひどい、汚れの範囲が広い…こんな時には、着物丸洗い(ドライクリーニング)ではなく「洗い張り(あらいはり)」がおすすめです。
「洗い張り」とは、着物をほどいて反物(布)の状態に戻し、水にさらしてしっかりと洗う伝統的な洗濯方法のこと。水にくぐらせて洗うため、一般的なクリーニングでは落としにくい水溶性の汚れもキレイにできます。
「洗い張り」だけですと反物の状態でお手元に戻ることになりますので、再度お着物として着る場合には「再仕立て」をお申し付けいただきます。
『ふじぜん』の着物再仕立て・寸法直し工程のご紹介
『ふじぜん』は創業明治39年、着物加工の専門店として長年皆様に愛されてまいりました。当店ならではの着物再仕立て・寸法直しの工程をご案内致します。
1.お仕立て内容のご相談
着物を新しく生まれ変わらせるには、サイズや裏地の色等、様々なポイントを細かく決めていく必要があります。プロの着物専門家がお客様のお着物を拝見し、素材や染色状態等を確認しながら、どのようなお仕立て直しをするか、お客様のご相談をじっくりと伺います。
● ご希望のサイズ:当店にお越しの場合には、お着物を着る方のサイズ計測致します。宅配サービスの場合には、ご希望のサイズ(裄丈・身丈等)をご指定ください。
● お直しの内容:全体的な寸法直しが必要かどうか、染色補正の必要はあるか等、ご希望のサイズや着物の状態に合わせた仕立直しプランのご提案をさせていただきます。
● 胴裏(裏地)や八掛は以前のものが使える?:胴裏が変色していなかったり、縫い代が十分にある場合には、以前の裏地や八掛(はっかけ)を使い続けていただくことも可能です。
● 胴裏や八掛の色:胴裏や八掛を新しいものに取り替える場合には、ご希望のお色に決めていただけます。宅配の場合には見本帳をお送り致しますので、50種類以上の中からお好きなものをお選びください。
2.お見積り
仕立て直しの内容が決まり次第、料金のお見積り(金額)をご提示します。お客様からお見積りにOKをいただいてからの作業開始となりますのでご安心ください。
3.着物をほどく
いよいよお仕立て直しの作業の開始です。着物の糸目をていねいにほどき、身頃(みごろ)・袖(そで)等のパーツの状態へと戻します。さらに解いたパーツを縫い合わせる「端縫」(はぬい)をして、反物(たんもの)の状態にします。
3.洗い張り
水洗いである「洗い張り(あらいはり)」を行います。水洗いをした後には一時的に繊維は縮みますが、糊付けをして張って乾燥させる「張り(はり:仕上げのこと)」をすれば幅が揃い、美しく整います。
洗い張りをすることで、昔の布地も新品のような風合いを取り戻します。全体的な寸法直し・お仕立て直しをする場合には、この「洗い張り」の工程は必要です。
4.染色補正
同じ布地でも、今まで外側に出ていた部分と内側に縫い込まれていた部分では日焼けの量が大きく違います。そのため、仕立て直すと部分によって色合いが違って見えてしまうことも。また着物の寸法を大きくする場合には、以前の仕立ての際の「スジ」が出てしまいがちです。
このようなスジや色ヤケ等が目立ちそうな場合には染色補正(色掛け等)を行い、色合いの差が目立たないように処理致します。
5.再仕立て
美しく再生された反物を、着物へと再仕立て(仕立直し)します。『ふじぜん』での再仕立てを担当するのは、すべて国内の和裁士のみ。プロの和裁士が減少し厳しい状態ではありますが、当店では日本人ならではの繊細な針使いができる国内和裁士にこだわってお着物の仕立て直しを行っております。
6.新しいタトウ紙に入れてお届け
仕立て直しをして美しく生まれ変わった着物は、新品のタトウ紙に入れてお客様のお手元へお届けいたします。
着物の仕立直し・再仕立て・寸法直しのお預かり期間と料金
仕立直し・再仕立ての料金
振袖 | 洗い張り料金 16,500円(税込) 手縫い仕立て料金 53,900円(税込) 合計金額 70,400円(税込) |
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留袖(比翼付き) | 洗い張り料金 19,800円(税込) 手縫い仕立て料金 53,900円(税込) 合計金額 73,700円(税込) |
訪問着(袷) | 洗い張り料金 14,300円(税込) 手縫い仕立て料金 44,000円(税込) 合計金額 58,300円(税込) |
色無地(袷) | 洗い張り料金 14,300円(税込) 手縫い仕立て料金 36,300円(税込) 合計金額 50,600円(税込) |
色無地(単衣) | 洗い張り料金 13,200円(税込) 手縫い仕立て料金 34,100円(税込) 合計金額 47,300円(税込) |
喪服(袷) | 洗い張り料金 14,300円(税込) 手縫い仕立て料金 36,300円(税込) 合計金額 50,600円(税込) |
喪服(単衣 / 絽) | 洗い張り料金 13,200円(税込) 手縫い仕立て料金 34,100円(税込) 合計金額 47,300円(税込) |
振袖用長襦袢 | 洗い張り料金 12,100円(税込) 手縫い仕立て料金 28,050円(税込) 合計金額 40,150円(税込) |
長襦袢 | 洗い張り料金 12,100円(税込) 手縫い仕立て料金 27,500円(税込) 合計金額 39,600円(税込) |
七五三着物 (三ツ身 / 四ツ身) | 洗い張り料金 12,760円(税込) 手縫い仕立て料金 44,000円(税込) 合計 56,760円(税込) |
道中着 | 洗い張り料金 13,200円(税込) 手縫い仕立て料金 38,500円(税込) 合計 51,700円(税込) |
羽織 | 洗い張り料金 13,200円(税込) 手縫い仕立て料金 38,500円(税込) 合計 51,700円(税込) |
袋帯 | 洗い張り料金 7,700円(税込) 手縫い仕立て料金 5,500円(税込) 合計 13,200円(税込) |
※料金はすべて税込価格となります。
※全体的な寸法直しの場合には、洗い張りが必要となります。
※上記以外のお仕立て直し料金につきましては、個別にお知らせいたします。フォームよりお問い合わせください。
※裏地や八掛等を取り替える場合には、以下の付属分料金が別途必要です。
振袖用胴裏地 | 17,600円(税込) |
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留袖用胴裏 | 13,200円(税込) |
着物用胴裏 | 13,200円(税込) |
長襦袢用胴裏 | 12,100円(税込) |
振袖用長襦袢胴裏地 | 13,200円(税込) |
比翼地 | 13,200円(税込) |
八掛け地 | 13,200円(税込) |
白半衿 | 3,300円(税込) |
衿芯 | 550円(税込) |
帯芯 | 3,960円(税込) |
※料金は全て税込価格です。
胴裏(裏地)の縫いしろがない場合や変色して使用できない場合がありますのでお客様と一緒に相談しアドバイスさせていただきます。
お預かり期間
平均1ヶ月~2ヶ月
※洗い張りの有無、着物の状態によって、納期は変動いたします。
※年末年始等の繁忙期には、通常よりお時間をいただく場合がございます。
※お急ぎでの仕上げをご希望の場合には、お気軽にご相談ください。
着物の仕立直し・寸法直しでよくあるご質問
- Q.着物のサイズを直したいけど、自分の体の着物サイズがわかりません。
- A.着物・長襦袢(ながじゅばん)のお直しの場合、以下の3つのサイズがわかれば大丈夫です。
● 身長:足元から頭頂部の一番高い部分までを測定します。
● ヒップ:おしりのふくらみの一番高い部分を水平に測ります。
● 裄丈(ゆきたけ):首の付根から手首までの長さ
このうち「裄丈」は、腕を斜め45°にした状態で、首の付根にあるグリグリとした骨の部分から手首までを測定します。裄丈の測定方法についてもご案内しておりますので、あわせてご参照くださいませ。 - Q.着物の丈(たけ)を10センチくらい長くしたいのですが、できますか?
- A.内揚げ(うちあげ)という胴の部分に縫込み(ぬいこみ)があれば、その部分の布を引き出して仕立て直すことで身丈(みたけ)を長くできます。
- Q.縫込みが無さそうなのですが、着物を大きくできませんか?
- A.内揚げに縫込みが無い時には、別の布を「足し布(たしぬの)」としてウエスト部分に足して、丈を長くすることもできます。この部分は「おはしょり」の下になったり、「帯」の下に隠れる部分ですので、足し布をしたことは周囲にはわかりません。
- Q.サイズ直しをしたことは周囲にバレませんか?
- A.寸法直しによって起こる色焼けによる色の違い、スジの部分等は、すべて目立たないように処理をいたします。ご安心ください。
- Q.反物を持っていっても着物に仕立ててもらえますか?
- A.もちろん大歓迎です。『ふじぜん』は着物加工の専門店でございますので、他店でご購入になった反物も喜んでお仕立ていたします。お気軽にご相談ください。
- Q.40年以上前の古い着物を仕立て直したいのですが…
- A.当店ではお着物の生地の状態を見て、洗い張りや仕立直しに耐えられる状態かどうか、専門家による検査を行っております。検査に合格し問題が無い場合であれば、喜んでお仕立てを承ります。
なお生地の経年劣化が激しく、洗い・仕立てを行うと損傷してしまう可能性が高い場合には、お仕立てをお断りさせていただく場合もございます。何卒ご了承ください。 - Q.寸法直しの時には必ず洗い張りをしないといけませんか?
- A.ごく一部の寸法を直すだけの場合なら、洗い張りをせずに寸法直しをすることも可能です。ただ裄丈・身丈等、全体的な寸法を直すのであれば、一度着物をほどいてから「洗い張り」をする作業が必要になります。
ご希望のサイズ直しに洗い張りが必要かどうかご不明な場合には、お気軽にお問い合わせください。 - Q.八掛や胴裏(裏地)は、古いものをそのまま使いたいのですが。
- A.変色やカビによるシミができておらず、縫い代が十分にある状態でなら、以前の八掛・胴裏を使って仕立て直しができます。
しかし変色シミが浮いていたり、黒カビ等の斑点がある場合には、継続してのご利用はおすすめできません。酸化したシミやカビの成分が仕立て直た着物に移ってしまい、新たなトラブルを産む原因となりやすいためです。この場合には、新しい八掛や胴裏にご交換をおすすめします。 - Q.衿の種類には広衿・バチ衿がありますが、どちらが良いのですか?
- A.着物の場合には「広衿」、ゆかたの場合は「バチ衿」というのが現代では一般的です。広衿は衿を襟幅の倍に仕立ててあり、実際に着る時に半分におりますから、襟幅が調節できるのも魅力です。美しい胸元を作りやすいので、「広衿」にしておくことをおすすめします。