振袖のクリーニングって、どれくらいの時間が知っていますか?振袖は「着物」の種類のひとつ。一般的な洋服とはクリーニングの仕組みが違い、着物専門の技術者さんや職人さん達がお手入れを担っています。そのため時間のかかり方も、洋服クリーニングとはかなりの違いがあるのです。
目次
振袖丸洗いの場合:1週間~10日間
振袖の丸洗い(きもの丸洗い)とは、洋服で言うところのドライクリーニングのことを言います。着物はほどかずに、石油系の溶剤を使って専用の機械で全体を洗う方法です。
【こんな時に丸洗いします】
- 汚れの程度は軽いファンデーション汚れ、皮脂汚れ程度
- シーズンの終わりに振袖をお手入れしたい
- 次に着るまでキレイに保管しておきたい
一般的なお店の「着物丸洗い」ですと、チリやホコリ等の全体的な汚れを落としたり、ごく軽いファンデーション汚れ等の皮脂汚れを落とすために「丸洗い」を選ぶ人が多いです。
なお当店『着物ふじぜん』の着物丸洗いでは手作業による汚れとり(軽いシミ抜き)も行います。そのため後述する「シミ抜き」を追加しなくても、付いたばかりの食べこぼしのシミや飲み物のシミ等もスッキリ落とせますよ。
丸洗いは1週間前後が目安
振袖にあまり目立つ汚れが無い状態で「丸洗い」を依頼するのであれば、振袖クリーニングにかかる時間は1週間~10日前後と考えて良いでしょう。
(ただし繁忙期には期間が変わります。このページの最後の項目まで読んでください)
振袖シミ抜きの場合:1~2週間
「振袖のシミ抜き」とは、食べこぼしや飲み物・血液等のシミを落とす「部分洗い」のことを言います。機械による洗浄ではシミは取れないので、専門の職人さんが手作業で、汚れの原因に合わせて丁寧にシミを取っていきます。
【こんな時にシミ抜きします】
- 食べこぼしや飲み物のシミを付けた時
- メイクの汚れを付けてしまった時
- 血のシミが付いてしまった時 等
一般的な着物クリーニングのお店だと、シミ抜きは丸洗いの「オプションサービス」となることが多いです。つまり丸洗い+シミ抜きという両方のコースが必要というわけですね。
ちなみに当店『着物ふじぜん』では、シミ抜きだけを単体でもご依頼いただけます。
一般的なシミなら1~2週間
振袖に付いたばかりのシミで、なおかつ大きさが2~3センチ程度のものであれば、原則として納期は1~2週間程度となります。
ただ次のような場合だと、シミ抜きには更に時間がかかると考えた方がよいでしょう。
- 色素が強いシミ(ワイン、ブドウジュース等)
- 特殊な原因のシミ(インク、サインペン、マニキュア等)
- 広範囲のシミ(直径10センチ以上等)
変色を取る「黄変抜き」の場合:1ヶ月~
上で解説した「シミ抜き」は、最近ついたばかりのシミ・汚れを取るものです。シミが付いてから長い時間が経って「変色シミ」になっている、原因のわからない茶色っぽいシミがある…これは「黄変(おうへん)」と呼ばれる着物のトラブル。汚れを取るだけでなく「漂白作業」をしなくてはなりません。この作業を「黄変抜き」と言います。
【こんな時には古いシミ抜き・黄変抜きします】
- 何年も前のシミを除去する
- 黄ばみや薄茶色のシミを取る
- 振袖の部分的な変色を直す 等
黄変抜き(古いシミ抜き)はとても高度な専門技術なので、どこの着物クリーニング店でもできるわけではありません。
激安料金系の振袖クリーニング屋さんだと「落ちない汚れです」と断られてしまうこともあります。当店は基本的に古いシミ抜き・黄変抜きも受け付けています。
状態によるが1ヶ月~3ヶ月以上
古いシミや黄変の場合、その状態によって振袖クリーニングにかかる時間が大きく変動します。
シミによる変色の度合いが激しい場合には、漂白だけでなく、後から部分的に柄足しをしたり色を染め直す「染色補正」の対応が必要です。専門の染色補正士さんが手作業で少しずつ作業を進めていくので、振袖がクリーニングから戻ってくるまでには3~4ヶ月以上かかる場合があります。
振袖のカビ取りの場合:10日間~
振袖の「カビ取り」とは、着物の生地に繁殖してしまっているカビ菌を除去する作業のことを言います。カビは外から見えなくても根を繊維の奥にまで張っているので、一度カビが生えてしまったらカビ取りするまで絶滅させられません。
カビは一般的なクリーニング(着物丸洗い)だけでは落ちないので要注意です。
【こんな時にはカビ取りします】
- 振袖からカビくさいニオイがする
- 白カビが振袖に生えていた
- 青カビ・黒カビによるシミができている 等
状態によっては1ヶ月~3ヶ月以上
カビくさいニオイを除去する程度であれば、振袖のカビとりクリーニングは10日間前後で完了することがほとんどです。しかしカビの繁殖程度が激しいと、着物が変色してしまっていることも。この場合には上で解説した「黄変抜き(漂白)」や「染色補正」も必要になってしまうため、1ヶ月~3ヶ月以上がかかることもあります。
振袖クリーニングは「繁忙期」に注意!
さてここまで4つのサービス別に振袖クリーニングにかかる時間について解説してきましたが、これは「通常時」の場合の目安時間です。「繁忙期(はんぼうき)」の場合だと、目安時間の2倍~3倍以上の時間がかかると考えた方が良くなります。
【繁忙期とは?】
繁忙期(はんぼうき)とは、多くのお客様が注文をして混み合う期間のことを言います。例えば旅館やホテルであればゴールデンウィークや大型連休が「繁忙期」というわけです。
レストラン等の飲食店でも、平日ならば空いているのに、土日になると混み合ってなかなか入れない、料理がなかなか来ない…ということ、ありますよね。これと同じことが着物クリーニングでも起こります。
さて、では着物クリーニングの繁忙期はいつか?というと、ズバリ「年末~1月」です。成人式に向けて事前のお手入れを依頼する人も多いですし、1月の成人式が終わると一気にシミ抜き等の注文が増加します。
振袖クリーニングのご注文はお早めに!
上でも少し解説しましたが、振袖クリーニングやシミ抜きはその多くが専門の職人さんによる手作業で行われています。
注文の量が増えたからといっていきなりアルバイトを雇って作業を任せるといったことはできませんし、機械をフル稼働させれば仕事がたくさん捌けるわけでもありません。注文の量が増えると、それだけ長いこと作業時間がかかってしまうわけです。
振袖クリーニングでは、洋服のように「注文した日に即日・翌日にはお渡し」といったスピード対応は残念ながらできません。「振袖のお手入れをしようかな」と思ったら、できるだけ早めに専門店に相談をしましょうね。
おわりに
振袖クリーニングにかかる時間で気をつけて欲しい点がもう一つあります。宅配型の着物クリーニング店では、作業納期以外に「家からお店まで振袖を送る時間」と「お店から家まで振袖が届けられるまでの時間」もかかるという点です。
当社も近年、宅配便での振袖クリーニングを受け付けるようになりましたが、お客様のご住所によっては当社からお送りした着物が到着するまで、2~3日程度がかかってしまうこともあります。往復にすれば5日~6日分が宅配輸送にかかるわけです。
納期1週間の振袖クリーニングでも、宅配の往復時間を加えれば手元に届くまでには2週間程度を見た方が良いこともあります。振袖クリーニングを依頼するのは、できるだけ早めにしたほうが良いですよ。