「結婚式に着物を着てみたいけど、どの着物を選んだら良いのかわからない」「知識が無いから、マナー違反になりそうで…」等、着物にチャレンジする機会を逃してしまっている人は多い様子。
でも華やかな祝いの場である結婚式は、着物を身につけるまたとないチャンスです。基本的なマナーさえ抑えておけば、堂々と結婚式に着物を着ることができますよ。ここでは失敗しない着物選びのマナーと、式前の準備の注意事項について解説していきます。
目次
1.結婚式に着る着物は?
家族・親族の場合
母親の着物
・黒留袖
新郎・新婦の母親は、和装の場合「黒留袖(五つ紋)」を着用します。これはチャペル式等でも同じです。黒留袖はミセスが着る最も格の高い着物。
主役である新郎新婦と同等の良い着物を来て招待客をお迎えすることが「マナー」となるわけですね。
「真夏に黒留袖なんて暑そうかも…」と心配される方も多い様子。しかしマナー的には、全く問題ありません。式場は礼服用にエアコンが効いていますし、周囲から違和感を覚えられることもありませんから、堂々と黒留袖を着ましょう。
祖母の着物
・黒留袖
・色留袖
・訪問着
・色無地(紋付)
両親よりもやや控えめなスタイルで出席します。ただご高齢の場合、比翼がついた黒留袖や色留袖は重たく着づらく感じられる方も多いようです。不安な場合には着やすい訪問着や色無地を着用して、快適に出席された方が良いでしょう。
叔母・伯母の着物
・振袖:未婚の場合
・黒留袖:既婚の場合
・色留袖
伯母・叔母は招待をされるゲスト側ではなく「招待をする側」であり、家族に続く近しい親族扱いとなります。そのため振袖もしくは留袖という礼装をするのが基本のマナーです。既婚の場合には黒留袖、未婚の場合は振袖となりますが、30代以上で未婚の女性の場合、色留袖を着用される方が多くなっています。
兄弟(姉妹)・義兄弟(義姉妹)の着物
・振袖:未婚の場合
・黒留袖:既婚の場合
・色留袖
・訪問着
未婚の場合には振袖、既婚の場合には黒留袖もしくは色留袖を着用するのが一般的です。こちらも叔母・伯母と同様、「30代で振袖は…」という未婚の方の場合、色留袖を着る方が増えています。
従兄弟(従姉妹)の着物
・色無地(紋付)
・附下
・訪問着
従姉妹等やや離れた血縁になる親戚の場合、家族や近しい親族に比べて格式が控えめの着物を選んだ方が無難です。
地域によっては「親族の女性は全員、黒留袖」といった結婚式の着物ルールがある場合もございます。 また訪問着の格式についても地域によって考え方が異なり、「親族の結婚式には訪問着は不適格」とされる場合もあるようです。 特に親族・親戚として結婚式に出る場合には、事前に親族内で相談をされておいた方が良いでしょう。
招待客側の場合
上司・部下・同僚等の会社関係、また知人・友人として参列される場合には、未婚と既婚で身につける着物が異なります。
未婚の場合
・振袖
・訪問着
振袖は式典の格式も上がるため、親族の方からも大変喜ばれる着物です。
既婚の場合
・訪問着
・色無地(紋付)
特に新郎新婦の上司に当たる人の場合、来賓の席に招待されることも多いため着物での出席は喜ばれるもの。なお、仲人として出席する場合には、色留袖を着用します。
【結婚式に着られない着物もあります】
・小紋(こもん)
・紬(つむぎ)
・浴衣(ゆかた)
2.結婚式前の準備
留袖の確認をしましょう
結婚式の良い手が決まったら、早めに留袖の状態を確認しましょう。特に「比翼(ひよく)」のチェックは大切です。比翼仕立てとは、重ね着をしているように見せかけるためのもの。衿・袖口・おくみ・裾に白い布が付いている場合には「比翼仕立て」となります。
比翼のサイズを確認
和装ハンガーにかけて、表地から比翼が見えないか確認します。留袖から比翼が出てしまっている場合、素材の違いや長時間の陰干し等が原因で、着物と比翼の寸法が合わなくなっている状態です。早めに専門店に相談をしましょう。
比翼が無い場合
比翼仕立てでは無い場合には、白の下着を重ね着する必要があります。仕立を確認して比翼になっていない時には、早めに小物を準備しましょう。
小物を揃えておきましょう
着物を着るには、様々な小物が必要です。直前になってから慌てないように、早めに揃えておきましょう。
留袖の場合に必要な小物類
・肌襦袢
・裾よけ
・衿芯
・腰紐
・伊達締め
・帯枕
・前板
・タオル
・足袋
・白帯締め
・白帯揚げ
・扇子
・草履
・バッグ
おわりに
新郎新婦の門出を祝う場である結婚式。フォーマルな着物を着て出席をすることは、お二人を祝福する意味合いにもなります。ぜひ素敵な着物で結婚式に出てみましょう。