結婚式・ハウツー

プロが解説!結婚式の半襟マナー

結婚式に着物を身につけるときには、フォーマル服としてマナーを守ることが大切です。特に結婚式では「半襟(半衿)」のマナーを忘れずに守り、お祝い席の装いを華やかに、それでいてキチンと引き締めた姿にしたいですね。

吉原ひとし
吉原ひとし
こんにちは。創業明治三九年 四代目 ふじぜん 吉原ひとしと申します。着物を専門に取り扱うクリーニング店の店主をさせていただいております。ここでは結婚式の半襟(半衿)マナーについて、よくある質問をプロが詳しく解説していきます。

結婚式につける半襟は白ですか?

はい、結婚式につける半襟(半衿・はんえり)には白を選びます。その他の色の半襟は「色半襟(いろはんえり)」という扱いになり、基本的にフォーマルには向いていません。特に濃い色の半襟(赤や紺・紫色等)はカジュアル向けなので、結婚式にはNGです。

半襟の素材は化繊でもOK

結婚式につける白半襟は絹地のものが理想的ではありますが、扱いやすい化学繊維のものでも構いません。初心者の方がご自分で半襟を洗いたい場合などには、化繊の無地白襟の方が洗濯などの取り扱いは楽です。

白半襟はフォーマルにもカジュアルにもOK

無地の白半襟は、フォーマルだけに使うものではありません。フォーマルからカジュアルまでどこでも使える万能の半襟です。一本持っておいてソンが無いというわけですね。

結婚式に刺繍半襟はマナー的にOK?

結婚式に刺繍半襟(シシュウをした半襟)をつける場合は、「白地であること」と「白糸または金糸」を使った刺繍であることが原則です。

白刺繍または金刺繍なら留袖にもOK

白の字に白系または金糸(きんし)で刺繍を施した半襟は、結婚式というお祝いの場にピッタリ!華やかでフォーマル感のある半襟です。黒留袖や色留袖などにも合わせられます。

刺繍半襟は洗えないので注意

刺繍半襟は素材を問わず、ご自宅では洗えないものが多いです。変色などを避けるには、お使いになった後に長襦袢と一緒にクリーニングに出します。金糸の刺繍半衿は使える場も限られるので、ちょっと上級者向けの半襟と言えるかもしれませんね。

成人式の色半襟をするとマナー違反になる理由は?

成人式に色半衿をつけていた場合、結婚式にその半衿は使えません。色半襟がカジュアル扱いのコーディネートとなるためです。着物は「半襟」や「長襦袢」のコーディネートで、同じ着物でもフォーマルになるかカジュアル扱いになるかが変わります。フォーマルな場では振袖にも白半襟を合わせるのです。

成人式は自由度が高い

成人式は元々は元服や裳着の儀から生まれた…とは言われるにせよ、戦後に生まれた比較的新しいイベントです。そこまで格の高いお式ではありません。また成人する方はお祝いの「主役」!自分の好きなように衣服を采配しておしゃれをしても許されるわけです。

成人式にはスーツや振袖に限らず、ド派手な格好をして出席する方もいらっしゃいますね。「正式なフォーマルでなくてもOK」というのが成人式という場なのです。ですから半襟の色や長襦袢の色もフォーマルらしくない色ものでOKになります。

結婚式は「フォーマル」なコーディネートを

日本では「冠婚葬祭」がフォーマルの場とされています。このうちの「」が結婚式であり、人生で行うイベントの中でも最上級の場、一番フォーマルで格の高い場であるとされています。もちろん新郎新婦の考えによっては「カジュアルでOK」ということもありますが、基本的には「あらたまった、フォーマルな服を来てお祝いをする場面」なのです。

主役に失礼のない装いを

結婚式の主役は新郎と新婦です。成人式では「振袖を着る人」が主役ですから好きな服が着られますが、結婚式では「振袖を着た脇役」ということになります。主役や周囲の方に失礼のないよう、TPOに合わせた服装をすることが求められるわけですね。着物を「フォーマル」としてキチンと着る場合、半襟は「」なのです。

足袋も白を選びましょう

ちなみに結婚式では足袋(たび)も白足袋が絶対です!成人式で色足袋やレース足袋を履いたという方も、結婚式では白足袋をご用意ください。

薄い柄半襟でも結婚式にはマナー違反?

「結婚式に色半襟(柄半襟)ではどうなのか」という問題については、個人によって捉え方が変わってくることころです。(できれば白半襟がマナー的に無難であることに変わりはありません)結婚式の規模、主役との関係性や集まる客層、着る着物との相性といった細かな条件を見据えながら考えていった方が良いでしょう。

着物と半襟の相性

まず着る着物の種類から考えましょう。

  • 留袖 → 黒留袖も色留袖も純フォーマル向けの着物です。白半襟しか合いません。留袖に色半襟を合わせるのは、例えれば「タキシードに普通のネクタイをしている」位のチグハグでおかしなコーディネート、ということになります。色半襟・柄半襟はNGです。
  • 振袖 → 白地でごく薄く淡い色合いの柄であれば柄半襟OKと考える方もいらっしゃいます。ただし、次の「結婚式の規模」や「主役との関係性」なども考えた方が良いです。
  • 訪問着・色無地 → 結婚式には白半襟を合わせることをおすすめします。訪問着は元々が「略式」のフォーマル服です。訪問着に柄がはっきり見える柄半襟や色半襟を合わせると、フォーマル服ではなくカジュアルよりになります。男性でいうと「普通のスーツに普段向けの色合いのネクタイで結婚式に来た」位の感じです。どんなにおしゃれなコーディネートでも、色半襟ではあまりお祝い向けの装いとは言えなくなります。

結婚式の規模・客層

次に結婚式の規模や客層を考えます。

  • 結婚式場(または神社仏閣)での結婚式 → 結婚式場での披露宴 純フォーマルな装いが求められやすい場ですし、会社関係の方や親族の方も多いですよね。しっかりとしたフォーマル感のある白半襟の方が無難です。
  • 人前式+レストランウェディング等 → 親族や親しい友人だけとった小規模な結婚式ですと、主役や新郎新婦のご家族も略式のフォーマルといった場合も見られます。例えば新婦がドレスではなくワンピースを着る・・・このような場であれば、ややカジュアル向きの結婚式なのですから、振袖に薄色の柄半衿程度であれば、合わせても問題はないかと考えられます。
  • 二次会のみの出席 → 親しいご友人達だけが集まる二次会であれば、略装(略式フォーマル)でもOKと考える方も多いことでしょう。この場合、薄色であれば色半襟でも問題は無い可能性が高いです。(ただし会社関係の方が多い、目上の方が多い二次会ではあまりおすすめしません)

新郎新婦との関係性

主役である新郎新婦との関係性は、フォーマル服の格を決める上でかなり重要なポイントになります。

  • 親族または仲人 → 選ぶべきは白半襟の一択です!親族や仲人は招待客側ではなく客をお招きする側であり、日本ではこの「招く側」が一段と正式な装いをすることがマナーとされています。招待客に失礼の無いよう、純フォーマルの白半襟を付けましょう。
  • 上司・先輩・恩師など → 新郎新婦があなたよりも年上・目上の方の場合にも、フォーマルな白半襟を身につけた方が無難です。また結婚式で一緒の席に着きそうな方に目上が多い場合も、フォーマルな白半襟をおすすめします。
  • ご友人・同僚 → 「同級生だった」「長年の同僚である」といった対等な関係性で、披露宴でも友達同士でテーブルに着く可能性が高い…といった場合には、服装が少しくだけた雰囲気でもOKでしょう。もちろん濃い色目やはっきりと柄が目立つものは避けた方が良いですが、ごく薄い半襟であれば扱える場合もあります。

お召しになる方の年齢層

洋装と同じく、和装でもフォーマル服は年齢を重ねるにつれて「落ち着いた装い」が求められる傾向があります。例えば20代前半であればフォーマル時の服装がカジュアル寄りでも「若いから」「華やかでOK」と捉えられても、ミドル層になると「あれはどうだろう」と周囲から思われることが増えますよね。「何歳までなら薄色半襟OK」というハッキリした区切りがあるわけでないですが、年齢も検討に入れとくと良いのではないでしょうか。

上記を総合していくと「振袖をお召しになる位の年齢層の方が、ご友人同士と出席される、気軽なスタイルの小規模な結婚式」等であれば、半襟についての考え方が緩やかになると考えてもよさそうです。とは言え、上記はあくまでも参考であり、出席される方の中には様々な考えの方がいらっしゃいます。できればご一緒に出席される親族の方やご家族の方、ご友人同士などで相談されることをおすすめします。

レース半衿は結婚式にはダメですか?

結婚式にレース半衿はやめた方が無難です。刺繍半衿とは違い、レース半衿は襟元がフリル調になっていたり、透け具合が大きいデザインが多々あります。どれだけ地色が「白」であっても、見た目が相当にカジュアルに寄りやすいです。「きちんとしたフォーマルで着物オシャレを楽しみたい」ということであれば、白地に白の刺繍半襟、または白地に金の刺繍半襟をおすすめします。

白半襟(半衿)はどこで買えますか?いくらですか?


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呉服屋やデパート(百貨店)の呉服コーナーはもちろん、最近ではAmazonや楽天といったオンラインショップでも白半衿を売っています。化学繊維の手軽な白半衿であれば1,000円~2,000円位で買うことができます。刺繍の凝ったもの、正絹のものだとお値段が上がりますが「とにかく白半衿が欲しい」という場合ならば1,000円のものでも、十分に大丈夫ですよ!

おわりに

今回は結婚式の半衿マナーについて解説しました。白い半衿は皮脂による黄ばみや黒ずみ汚れが目立ちやすいので、使い終わったら早めにお手入れすることも大切です。ご自分で半襟を外して洗ってお手入れすることもできますが、面倒な場合には半襟をつけたまま長襦袢をクリーニングに出せるお店もありますよ。

着物クリーニング店である当店『ふじぜん』でも、半衿をつけた状態で長襦袢のクリーニングを受け付けています!宅配で全国受付OKなので、お気軽にご相談ください。

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吉原ひとし


着物ケア診断士 吉原ひとし


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