成人式・ハウツー

振袖の色はどうする?柄選びは?「着物の格」とは何?振袖選びの基礎知識

もうすぐ20歳…この頃になると、気になってくるのが成人式の振袖選びですよね。「振袖の色はどうしよう?」「振袖の柄は何にしよう?」と、カタログを見ながら迷っている人も多いのでは?また「着物の格」という言葉を聞いて、「振袖は格が高いの?」「そもそも格って何?」と不思議に思っている人もいることでしょう。

今回は着物の中での振袖の格や、振袖の色・柄等、振袖選びの際に知っておきたい基礎知識をくわしく解説していきます。

 

着物の格とは何?格の高い礼装である「振袖」

着物の「格(かく)」とは、洋服でいうところの「フォーマル」「ビジネス」「カジュアル」のような種類の区分けのことです。着物の格が高くなるほど「フォーマル」、低くなるほど「カジュアル」の扱いになるというわけですね。着物にはそれぞれ「格」があり、着ていけるシーン・TPOが以下のように定められています。

【着物の代表的な種類と格】
↑ 着物の格が高い(フォーマル)
● 第一礼装(正礼装):打掛、本振袖、喪服着物、黒留袖等
● 準礼装:振袖(中振袖)、色留袖等
● 略礼装:訪問着、色無地 等
● 外出着(おしゃれ着):付下げ、小紋 等
● 普段着・街着:ウール着物、木綿着物、紬
● 家着:浴衣
↓ 着物の格が低い(カジュアル)

※訪問着や色無地等の格は、家紋の有無・数によっても変動します

未婚女性が身につける最も格の高い着物は、結婚式の時に着用する「本振袖(ほんふりそで)」や「打掛(うちかけ)」です。いわゆる「花嫁衣装」ですね。結婚式の場は、花嫁となる女性が未婚で居る最後の場。主役である花嫁が、一生でもっとも格の高い着物を着ることになります。

お正月や成人式等に着る「振袖(ふりそで)」は、未婚女性が着る着物の中で花嫁衣装に次ぐ「格の高い着物」です。「礼装」という言葉のとおり、振袖は正式なフォーマル服として様々な「あらたまった場所」で着用することができます。

【振袖の着用シーン例】
・親族の結婚式
・友人の結婚式・披露宴
・祝賀会等のパーティー
・お見合い
・結納
・卒業式

現代の感覚だと、振袖は「成人式に着る着物!」というイメージが強いもの。でも元々の「振袖」とは、洋服でいうところの「ドレス」のような未婚女性のための正式なフォーマル服なのです。

 

振袖の色はどうする?色の選び方のコツ

若い女性向けの着物である「振袖」は、色のバリエーションがとても豊か。振袖というと赤やピンクを思い浮かべる人が多いようですが、実際には青系・紫系・緑系・ベージュ系等、幅広い色合いがあります。「振袖の色選びに迷ってしまう…」という人が多いのも当然と言えるかもしれません。

振袖の色を上手に選ぶコツとして、以下のような点を参考にしてみましょう。

肌映りの良さをチェック

着物の色は顔色を大きく変えて見せます。色が合わないと色黒に見えたり、くすんでしまうことも。スッキリと肌映りがよく見える色を選びましょう。

● 色白さんは?→ パステル系等、淡く柔らかな色合いがおすすめです。
● 日焼け肌さんは?→ グリーン、ネイビー等が肌をスッキリと見せてくれます。
● くすみが気になる時は?→ 地色が渋く落ち着いた色味をチョイスすると色白風に見せられます。

身長でも似合う色が変わる?

「身長」も色選びの要素に入れておくと、着物姿がさらに美しく見えます。

● 小柄な人は?→ 同じ色でもトーンが明るめのものを。柔らかく明るい雰囲気で、可愛らしい印象にするのがおすすめです。暗い色だと小柄さが目立ちます。
● 背が高い人は?→ トーンが濃い目か抑えた色味の地色がおすすめ。スッキリと大人っぽい雰囲気にまとめてみましょう。

ボディラインでも似合う色は変わる

全身をまとう振袖の色味で、ボディラインの印象も変わります。

● 肩幅・ウエストが細い華奢なタイプ→ ソフトで優しい色合いを選びます。濃いめ・強めの色はNG。貧弱な印象を与えてしまいます。
● 肩幅がある・腰幅があるタイプ→ キリッとした濃いめの色合いがおすすめ。全身を引き締め、スラリと見せてくれます。反対に薄すぎる色合いは膨張して見えるため、あまり向いていません。

 

振袖の柄選びはどうする?上手な選び方のコツ

成人式に「ママ振袖」を着ませんか

小柄な人の振袖の柄は?

小柄な人の場合、振袖の柄は小さめのものの方がバランスが取りやすいです。反対にモチーフの一つ一つが大きいと、柄のインパクトが勝ってしまい、小柄さが目立ってしまうことがあります。

背が高い人の振袖の柄は?

身長が160センチ以上ある場合には、振袖の柄が大きめのもの・ハッキリとした柄行のものを選ぶことをおすすめします。全体に小さな柄が入るような振袖だと、体の大きさが目立ちやすくなります。

 

幅広いシーンで振袖を着るための色・柄選び

「着物の格」でご紹介したように、振袖は親族の結婚式や結納・格調の高いパーティー等にも着ていくことができる格の高い着物の種類です。しかし振袖の柄・色使い等によっては、結婚式や祝賀会等に使いづらいこともあります。

「成人式以外にも、振袖を幅広いシーンで使いたい!」という場合には、以下のような色・柄選びのポイントも知っておきましょう。

結婚式参列には「白」「赤」「黒」を避けた方が無難?

洋服の場合だと「結婚式では白がNG」というのがマナーですよね。これは花嫁のウェディングドレスの「白」と、参列者の衣装の色がかぶらないようにするための心遣い。主役である花嫁を引き立たせるために、同じ色を使わない方が良いというわけです。

和装の場合、このような色のマナーは特にはありません。白でも柄が入っていれば「真っ白」ではないのでOK。黒でも振袖ならば華やかだからOK…というのが原則的な考えです。しかし、以下のような理由で「白」「赤」「黒」の振袖は避けておいた方が良いとも言われています。

これは以下のような「色被り」や「勘違い」が起きやすいためです。

● 花嫁が着る「色打掛(いろうちかけ)」では赤が選ばれやすい
● 花嫁が着る「引振袖(ひきふりそで)」では地色が黒・赤・白が多い
● 親族が着る和装が「黒留袖」であるため、黒色が「親族」と勘違いされやすい
● 白の和装について「白色はNG」と勘違いされやすい
● 黒の和装について「黒色はNG」と勘違いされやすい

現代は着物に詳しくない人の方が多い時代です。いくら「着物のマナーではこれが正しい」と言っても、他の人から「マナー違反!」と勘違いされたまま過ごすのでは気分も良くありませんよね。

また事前に「花嫁が和装なのか、どの色の振袖を着るのか」を把握できるのであれば良いですが、毎回衣装を確認できないこともあります。花嫁が特に選びやすい色合いは避けておいた方が無難…というわけです。

格の高いシーンで振袖を着るなら「古典柄」を

振袖の柄は、大きく分けて「古典柄」「モダン柄(現代柄)」に分類できます。

【古典柄とは】
吉祥模様(きっしょうもよう)という、古来の日本で「縁起が良い」と考えられてきた柄が代表的。例えば「鶴・亀」や「七宝」「扇」「松竹梅」等があります。

この他、桃・藤・菊・椿などの日本で古来からある植物や花の柄は「古典柄」に含まれます。なお「桜」は日本古来の古典柄の一種ですが、散るのが早いため「縁起が悪い」と考え、振袖への使用を避ける地域もあります。

【モダン柄(現代柄)】
近現代になってから取り入れられるようになった着物の柄のことは、まとめて「モダン柄」と呼びます。例えばバラやカサブランカ(外来種のユリ)、ヒマワリ、かすみ草といった海外らしさのある花柄も「モダン柄(現代柄)」の一種です。

極端に言えば、「いかにも和柄!」という日本らしさがあるのが古典柄、「ワンピースやシャツ、洋服のバッグの柄にもできそう」という柄行はモダン柄というわけです。現代的な柄はファッション性が強い分、「礼服(フォーマルらしさ)」という印象が弱くなることも。そのため以下のようなシーンでは、「古典柄」の振袖の方が好まれます。

● 神社での結婚式
● 親族としての結婚式・披露宴への参列
● 結納
● ホテル等での格式高いパーティー
● 茶席
● 叙勲式 等

上記のような場面では、伝統的な「古典柄」で品の良い色合いの振袖を選んだ方が良いでしょう。「振袖」は格の高い着物ではありますが、色・柄によっては「カジュアルな雰囲気」「派手な雰囲気」ばかりが目立ってしまうことも。

様々なシーンで振袖を着用するのであれば、格の高さを損ねない色柄を選ぶことも大切です。

 

おわりに

振袖の色選び・柄選び・着物の格についての基礎知識はいかがだったでしょうか?洋服と着物では、似合う色合いや柄も大きく変わってきます。ふだんの洋服の時には着なかった色が、着物だとしっくり似合うことも多いんですよ!

振袖選びの時には、今までの「思い込み」にとらわれず、様々な着物を試すことが一番。また振袖を購入する場合には、成人式以外で振袖を着ることも想定しながら色柄を選びましょう。

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吉原ひとし


着物ケア診断士 吉原ひとし


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