成人式・ハウツー

振袖の脱ぎ方・注意点やポイントを徹底解説

成人式やご友人の結婚式などで振袖を着るときには、専門の着付け師の人に着せてもらいますよね。でも振袖を脱ぐときにはどうしたら良いのかは知っていますか?

振袖の脱ぎ方は、花火大会や夏祭り等で着る「浴衣」や一般的な着物に比べてもやや難しいもの。また振袖は高価で繊細な着物ですから、汚さないように気をつけることが大切です。

吉原ひとし
吉原ひとし
こんにちは。創業明治三九年 四代目 ふじぜん 吉原ひとしと申します。着物を専門に取り扱うクリーニング店の店主をさせていただいております。ここでは振袖の脱ぎ方について、準備や注意点等をポイントを押さえながら順番に解説していきます。

広く平らな場所を確保する

振袖は洋服のような感覚で狭い場所では脱げません!確実に汚したり、振袖を傷ませたり、不要なシワを作ってしまいます。

ご自宅の場合、畳の部屋があればそれが最適。そうでなければ、フローリング床でも良いので広く場所が空いているところを選んでください。周囲にどんどん着物や帯・襦袢等をかけていきますから、狭いとあっという間に空間が埋まってしまいますよ。

またご自宅以外の場所の場合、振袖を脱いだあとに「畳む」作業が必要です。この場合、2メートル以上の布を平らにおけるスペースは必須!平らに着物が置けないと、上手に畳めません。

広くスペースが空いていること」「清潔であること」がとても大切。トイレの中やネカフェ、カラオケルームといった狭い個室では絶対にお着替えができませんので、十分に注意してくださいね。

着物や小物をかけるものを準備


長尺 着物ハンガー 2本 和装ハンガー 長尺タイプ

振袖では上に着ている着物だけでなく、中に着る襦袢(じゅばん)や帯締め・帯揚げ等の多量の小物類をほどいていきます。脱ぎながら全部を床に広げたら、どれだけ広いお部屋でもスペースが足りません。振袖を脱ぐ時には、着物や小物類をかけておけるようなモノをあらかじめ準備しておきましょう。

  • 和装ハンガー:もっとも最適。振袖の陰干し等にも使えます。振袖用と長襦袢用の2本があると便利。
  • ハンガー:長襦袢等ならとりあえず洋装用でもOKです。帯揚げや紐等をかけても。たくさん用意しておきます。
  • 椅子:モノが多いので椅子などを使うこともあります。

衣裳敷を敷くか布・紙を敷く


衣裳敷100CM×150CM

振袖はとても繊細で、汚れキズがつきやすい衣類です。また「絹」でできていますから、洋服のように「汚れたから家で洗う」ということができません。とにかくできるだけ「汚さない・床で擦らないこと」が大切なのです。

そのため振袖を脱ぐ時には、衣裳敷(いしょうじき)という厚手の和紙を敷いて、その上で着替えをするのが一般的。衣裳敷を持っていない場合には、大きな布(シーツやテーブルクロス等)を床に敷いたり、きれいで大きな紙等を敷いて代用します。床や畳の上で直接振袖を脱いではダメですよ。

口紅を拭っておく

振袖を人に脱がせてもらうならお化粧はつきにくいですが、自分で脱ぐとなるとファンデや口紅がついて「しまった!」となることも。特に口紅・グロス類はペッタリ付けてしまいやすいので、ポイントメイクだけ軽く落としておきます。

水ハネが起きると困るので、顔は洗わないこと。シートタイプのメイク落としで口紅と、できれば顎まわりのファンデーションも拭っておくと安心です。

手を洗うか手袋をはめる

人間の手は意外と汚れています。帯をほどこうとギュッと触ったりすると、一発で手汗まみれ…なんてことも。綿手袋をはめるのが最も安心ですが、無い場合にはよく手を洗ってから振袖を脱ぐようにしましょう。

なお爪を長く伸ばしている人は、かならず綿手袋をはめて作業してください。爪でひっかけて布に傷がつくと、専門店でも元に戻せません。綿手袋は100円均一ショップでも買うことができますよ。

髪飾りとアクセサリーを外す

簪(かんざし)等の髪飾りと、アクセサリー類はすべて外しておきます。かんざし類はひっかけると着物に傷がつくので要注意!また生花を付けている人も花粉やシミを付ける原因になるので必ず「着物を脱ぐ前」に髪からはずしてください。(手が回らない場合には、ご友人やご家族などに外してもらいましょう)

帯締めをほどいて帯揚げを外す

さあ、いよいよ振袖を脱いでいきましょう。まずは帯締め・帯揚げを外していきます。帯締め(おびじめ)とは、帯の上から巻いているキレイな飾り紐のこと。これをほどかないと帯を外すことができません。

次に帯揚げ(おびあげ)という、帯の上に挟んでいる柔らかい布を外します。ここまでは一人でも行うことができますよ。

帯枕の紐・三重仮紐と帯をほどく

次に帯を固定している帯枕の紐や、三重仮紐を解いていきます。これをほどいたら次に帯をほどきます。なお帯の形によっては一人でほどけないことがありますので要注意です!

一人で解ける帯
両手を上げて、帯を結んだ形が両ワキよりも下にまとまっているのであれば、帯をグルリと回して前に持ってくることができます。帯を持って時計回りに回し、結んだ帯を前に持ってきて、固定している紐をほどきましょう。そのまま、飾りひだなどを外し、結び目をほどいて帯をはずします。

一人では解けない帯
帯を結んだ形が両ワキよりも上に伸びるような形をしている場合には、帯を前に回すことができません。(ムリに回すと帯にクシャクシャのクセがついたり、振袖が引っ張られて傷んでしまいますので絶対にやらないでください)

この場合にはご家族やご友人に頼んで、帯結びは後ろの状態のままで帯枕の紐と三重仮紐をほどいてもらいましょう。さらに続いて帯の結び目をほどいてもらって、帯を外します。

はずした帯は放置せず、ハンガーなどにかけておきます。帯締め・帯揚げ等も同様です。ご自宅の場合にはしばらくハンガーなどにかけて陰干しして、汗をよく飛ばしましょう。

腰紐・伊達締めをほどく

振袖を固定している紐(腰紐・伊達締め)などをほどいて、それぞれハンガーなどにかけていきます。

紐類は後でまとめて片付けようとすると「どれがどれだかわからなくなった!」「振袖を脱いだ部屋に忘れ物をした!」なんてことも多いです。それぞれ別のハンガーにかけるようにした方が、後で混乱しませんよ。

振袖を脱ぐ

振袖を脱ぎます。ご自宅等の場合には、和装用ハンガーにかけてそのまましばらく陰干しをしましょう。

ご自宅以外で一度すぐに移動しなくてはならない場合には、この後にすぐに畳む作業があるので、できるだけシワになりにくい形にして置いておきます。

長襦袢を脱ぐ

長襦袢(ながじゅばん)は着物の下に来ているインナーのようなもの。これも固定している紐があるので先にそれをほどき、それから長襦袢を脱ぎます。

長襦袢も振袖と同様に、ご自宅の場合には和装ハンガーなどにかけておきましょう。

肌襦袢・腰巻きをはずす

あとは最も下に来ているインナーである「肌襦袢(はだじゅばん)」やペチコートのような「腰巻き(こしまき)」を外し、足袋(たび)を脱げば、振袖のすべてを脱いだことになります。

ご自宅以外の場所で振袖を脱いだ場合には、すみやかに振袖や長襦袢を畳んで移動に備えましょう。ご自宅等で陰干しをする際には、振袖を直射日光に当てないように注意。色あせしてしまいますよ。

また成人式や結婚式での着用中にシミや汚れを作っていないか、全体をくまなくチェックしておくことも大切です。万一、シミや汚れを見つけたら、すぐに専門店に相談を!早めに汚れに対処すれば、意外と安い料金で振袖をキレイにすることができますよ。

おわりに

振袖の脱ぎ方についての情報はお役に立ちましたか?振袖の帯には結び方の形が色々あって、モノによっては一人で脱げないことがあるのでそこが大きな注意点と言えます。

「どうしても振袖を脱ぐ際に手伝ってくれる人がいない」という場合には、あらかじめ着付けの際に着付け師の方に相談して、一人で帯を回せる形に帯を結ってもらうようにしましょう。

振袖は着るときには緊張していますが、脱ぐときには疲れていてつついつい作業が雑になりがち。でも高価で繊細な着物ですので、どうか大切に扱ってくださいね。

大切な振袖を美しく蘇らせます!

振袖クリーニング

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吉原ひとし


着物ケア診断士 吉原ひとし


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