子どもの成長を祝う大切な行事である七五三。晴れ着である振袖や袴を身につけた姿を見るのは、ご両親にとっても嬉しいものですね。でも家にある七五三の着物を着用するには、事前の準備をきちんとすることが大切です。
目次
子ども着物の縫い上げをしましょう
「縫い上げ」とは、和装の「サイズ直し」のこと。
以下のような場合に縫い上げを行い、お子様の体型に着物を合わせます。
- お宮参りの着物を着用される場合
- お父様・お母様の子どもの頃の着物を着用される場合
- お子様の体の成長に合わせる場合
縫い上げでは着物・長襦袢の以下の変更を行います。
- 肩上げ(裄丈の変更)
- 腰上げ(身丈の変更)
- 袖の丸みつけ
- 紐の付け直し
縫い上げは自宅でできる?
五歳・七歳で以前の着物を着用される場合には、袖にすでに丸みが付いているため、縫い上げは「肩上げ・腰上げ」のみでOK。肩上げ・腰上げは和裁・洋裁経験のある人ならば意外とカンタンにできます。下記に肩上げ・腰上げの方法をご紹介しておりますので、ご参照の上、ぜひ縫い上げに挑戦してみてください。
自宅縫い上げが難しい場合
お宮参りの着物を縫い上げる場合、袖の袂に丸みを付ける作業が必要です。この作業は難易度が高く、和裁で経験を積んだ人でないとなかなか綺麗に仕上がりません。
お宮参りのお着物については、専門店にまで縫い上げのご依頼をされた方が無難です。
七五三の肩上げ・腰上げサービス
着物の肩上げの縫い方
1)着物の裄(ゆき)の長さを測ります。
「裄」とは、襟元の後中心(首の根元)から袖口までの長さです。
2)次にお子様の裄サイズを計測します。
お子様にまっすぐ立ってもらい、手を斜め45度に上げてもらって下さい。首の根元の中心部にグリグリっとした部分がありますので、この中心部から肩~手首までの長さを測ります。
3)1)で計測した着物サイズをA、お子様のサイズをBとします。
「A-B」で出た数値が、肩上げ寸法(肩上げをするサイズ)です。
4)着物の肩幅の半分(真ん中)の位置を肩上げ山とします。
後はは袖付け止まり(袖下側・身頃の接着点)から2センチ程の高さまでまっすぐに。
前側は袖側へ1センチ斜めに取りましょう。
5)肩上げ山から左右均等に、3)で出した肩上げ寸法の半分を摘み、マチ針で固定します。
後ろ側は3)で出した肩上げ寸法の半分よりも1センチ少なく固定します。
6)肩上げ山を袖側へと倒し、二目落としで縫っていきます。
表側が細かい目になるように縫いましょう。
腰上げの縫い方
1)着物の身丈(みたけ)を測ります。
身丈とは、襟元の後中心(首の根元)から裾までの長さです。
2)お子様の身丈を測ります。
お子様にまっすぐ立ってもらった状態で、首の根元の中心部(グリグリとした部分)から足首のくるぶし部分までを計測します。
3)1)で計測した着物サイズをA、お子様のサイズをBとします。
「A-B」で出た数値が、腰上寸法(C:腰上げをするサイズ)です。
4)上げ山の位置を決めます。
「着物の身丈(A)-腰上げ寸法(C)」で出した数値の「半分」が原則的な位置です。
しかし実際に羽織り、腰上げ山が帯の下に出るように調整をした方がバランスの良い仕上がりとなります。
5)腰上げ山から上下均等に、3)で出した腰上げ寸法Cの半分を摘み上げ、マチ針で固定します。
この時、下前(身頃右側)の衿端は1センチ分多く摘んで固定しましょう。
6)上げ山を下側に向かって倒し、二目落としで縫っていきます。
表側が細かい目になるように縫いましょう。
また上前(身頃左側)の衿端は、着た時に上になるように揃えて縫います。
七五三着物で必要なもの
七五三では性別・年齢によって、必要となる着物や着物が異なります。きちんとチェックして、準備を万端にしておきましょう。ここでは原則的な着物・小物のリストを挙げてみました。
1.三歳女子
・着物
・長襦袢
・被布(ひふ)
・草履
・バッグ
2.七歳女子
・着物
・長襦袢
・草履
・バッグ
・はこせこ
・帯締め
・帯揚げ
・しごき
3.三歳・五歳男子
・着物
・長襦袢
・袴セット(袴・懐剣・羽織・紐・角帯・お守り・白扇・雪駄)
※地域によっては着物・小物で必要となるものが異なる場合もございます。
おわりに
お子様の着物の縫い上げをする前には、必ずお着物の状態をよくチェックしましょう。保管状態によっては、思いもよらない汚れやカビ等が発生していることもあります。せっかく頑張って縫い上げをしても、着物の汚れが目立つ状態では台無しですよね。
汚れや臭い等が気になる場合には、ぜひ当店にご相談ください。また七五三のお着物でご不明な点がある場合にも、着物のプロである診断士がご相談を受け付けています。