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長襦袢の種類や着物との合わせ方・選び方の注意点

長襦袢

着物を着るときには、様々な下着・小物類が必要ですよね。中でも大切と言われるのが「長襦袢(ながじゅばん)」です。長襦袢は着物の着崩れを防ぎ、裾捌き等をよくする役割を持つ他、袖や裾等からチラリと見せる「見せるオシャレインナー」的な意味合いも持っています。また着物の種類やTPO・季節に合わせて、選ぶ長襦袢も変わってくるんですよ。今回は長襦袢び種類、長襦袢と着物の合わせ方・選び方の注意点等について詳しく解説していきます。

目次

長襦の「裏地」による種類の違い

着物と同じく、長襦袢にも「裏地」があるものと無いものがあります。

袷仕立て(あわせじたて)


袷仕立てとは、表地に裏地を縫い付けたタイプの「裏地あり」の長襦袢です。胴部分には専用の裏地を付け、袖部分は表地・裏地に同じ素材を使った仕立て方にするのが一般的となっています。かつて暖房等が無かった時代の日本では二重の部分が多い袷仕立ての長襦袢は「防寒インナー」といった意味も持っていました。しかし現在では暖房設備が整った施設が多く「着物を着た際の寒さ」に対してはあまり重要視がされないため、袷仕立ての長襦袢が選ばれる機会は減っています。

とは言え昔ながらの伝統的な仕立てであることから、格式の非常に高い催事に着用する場合等には袷仕立てが選ばれることも。また寒い地方で屋外に居る機会が多い場合等には、現在も「袷の長襦袢」が重宝されることもあるようです。

【袷仕立ての長襦袢を着る季節】
袷仕立ては原則として、12月から翌年3月頃の「真冬の時期」に着用する長襦袢です。

胴単衣/胴一重(どうひとえ)・胴抜き(どうぬき)


胴の部分の裏地をつけず、腰から下部分に補強用の布をつけたタイプの「裏地あり」の長襦袢です。胴の部分に裏地が無いことからスッキリと着られます。現在では「裏地あり」の長襦袢の場合、こちらが主力となっています。

【胴単衣の長襦袢を着る季節】
昔からの考え方では、10月~11月頃、3月~4月頃か胴単衣を着るとちょうどよい季節と考えられてきました。しかし現在では「裏地有りの襦袢を着る季節(11月頃~4月頃)にかけては、すべて着用できるという考え方が主流となっています。

単衣(ひとえ)


単衣の長襦袢とは、裏地がいっさいなく、表地のみで仕立てられた長襦袢です。裏地が無いので空気がこもりにくく、涼しく着やすい点がメリット。折り返し等もできるだけ減らして、体温がこもらないように工夫されています。

【単衣の長襦袢を着る季節】
5月~9月・10月頃にかけての暖かい季節には単衣の襦袢を着用します。ただし普段着系の着物の場合、通年で単衣の長襦袢を着るというケースも近年では珍しくなくなっています。

 

長襦袢の「素材」の違い

着物に様々な種類があるように、長襦袢にも素材による違いがあります。TPOによって使い分けることも大切です。

正絹(綸子、縮緬、羽二重等)

正絹(シルク)は見た目にも美しく品格があり、礼服に合わせるのに最も適した素材です。また防寒性にも比較的優れているほか、吸湿性もあります。きちんとした正絹素材は静電気も起きにくく、着物の裾等がまとわりつきにくいので動きやすいのもメリットです。

反面、ご自宅では洗いにくい(水洗いによる収縮が起きやすい)、虫害対策等を丁寧に行う必要がある等、お手入れが難しい傾向にあります。

化繊(ポリエステル素材等)

化繊素材はその種類によって見た目・機能性・価格共に大きな開きがあります。東レが開発したシルック(R)等の高品質な化繊素材であれば、洗濯機でも丸洗い可能な上に着た時にもシワになりにくく、静電気も抑えやすいので、初心者の方にも扱いやすいでしょう。見た目にもシルクのような上品な光沢感があるので、礼服などにも使用できます。

しかし非常に安価な化繊素材を選んでしまうと着物との静電気が起きて動くたびに裾がからまったり、着崩れが起きやすい、蒸れやすいといったことも。特にフォーマル向けの長襦袢を選ぶ場合には、品質の良い化繊を選ぶことが大切です。

ウール(モスリン/メリンス)

日本における「モスリン(メリンス)」とは、ウール(羊毛)を使った平織りの織物を指します。ウールの長襦袢は防寒線が非常に高く、暖かく着物を着られるのが特徴です。

ただしカジュアル向けのシーンでしか着用できません。また虫害に合いやすいので、虫干しや防虫対策は丁寧に行います。

木綿(綿ワッシャー等)

綿・コットン素材の長襦袢は、吸湿性に優れていてさっぱりと着られるのが特徴です。様々な色柄があるので、デザイン性を楽しめます。化繊に比べて肌当たりが優しいので、敏感肌等の方にも好まれます。ただしこちらもウール同様、カジュアル・普段着向けの素材です。

 

着物と長襦袢の合わせ方

では、着物の種類やTPOに合わせた長襦袢の色柄・種類の合わせ方を見ていきましょう。

振袖(ふりそで)に合わせる長襦袢

振袖とは、袖のとても長い着物のこと。未婚女性が着用する礼装用のフォーマルな着物です。

●振袖に合わせる長襦袢の素材

縮緬(ちりめん)や綸子(りんず)等、正絹でボリューム感のある素材を合わせます。振袖は袖が長い分だけ長襦袢が出てしまいやすいのですが、化繊等で軽い素材だと特に襦袢が飛び出やすく、見た目にも悪くなります。しっかりとした重みのある上質な素材を選びましょう。

●振袖に合わせる長襦袢の柄

絵羽模様のように、身頃・袖などに一続きに模様が続く華やかな長襦袢が使われる他、上品なぼかし等の長襦袢を選ぶ方も多いです。もちろん無地でもOKです。

●振袖に合わせる長襦袢の色

成人式の場合には、振袖を着るご自身が主役ですので、近年では「色はお好みでOK」とされることが多いです。しかし結婚式の場合には「ゲスト側」として控えめであること、フォーマルさが求められるので、薄いピンクや水色・クリーム色といった淡い色(薄色)を合わせます。

留袖(とめそで)に合わせる長襦袢

留袖とは、帯から下の部分にのみ柄が入る着物のこと。ミセスが着るフォーマル着物です。

●留袖に合わせる長襦袢の素材

紋綸子(もんりんず)、羽二重(はぶたえ)等、光沢感のある正絹素材を合わせます。

●留袖に合わせる長襦袢の柄

非常に格の高いフォーマル着物である留袖には、無地もしくは同色の地紋入りの長襦袢を合わせます。地紋には吉祥文様等のおめでたい柄行が好まれます。

●留袖に合わせる長襦袢の色

「白」のみです。留袖は結婚式等の非常に重要で格の高い催事・式典に着用する第一礼装であることから、色物(白以外の色)をあわせることはNGとされています。

喪服着物に合わせる長襦袢

ここで言う喪服着物とは、通夜葬儀等に着用する黒無地染め抜きのこと。地色が黒一色で柄が入らず、両胸・両袖・背中の五ヶ所に家紋が入ります。

●喪服着物に合わせる長襦袢の素材

紋綸子、羽二重等の正絹素材が一般的です。

●喪服着物に合わせる長襦袢の柄

無地です。同色の地紋は入ってもOKですが、おめでたい柄行(吉祥文様)は絶対にNG。よく地紋を確認しましょう。

●喪服着物に合わせる長襦袢の色

白一択です。

訪問着・付下げに合わせる長襦袢

訪問着(ほうもんぎ)とは、胸から裾まで柄が一続きに入っている着物のこと。付下げは柄が縫い目をまたがずに飛ぶように入っていますが、近年では見た目にも訪問着そっくりのものが増えています。結婚式・入学式・七五三・お宮参り等に略礼装として着用できる他、色柄によっては観劇・パーティー等にも使える等、使用範囲が広い着物です。

●訪問着・付下げに合わせる長襦袢の素材は?

紋綸子や縮緬、楊柳等を合わせます。

●訪問着・付下げに合わせる長襦袢の柄は?

無地、もしくは濃淡のぼかしが入ったもの、絞り等、柔らかく品のあるものであればOKです。柄行がはっきりしたものは避けます。

●訪問着・付下げに合わせる長襦袢の色は?

結婚式・入学式・七五三等のお祝いごと(フォーマルなシーン)には、薄く淡い上品な色(クリーム色・淡いピンク・薄いグリーン)等を合わせます。白でもOKです。

色無地に合わせる長襦袢

色無地(いろむじ)とは、黒以外の色で染められた柄の無い無地の着物のこと。家紋が無い場合には普段着扱いの着物ですが、背中に一つ紋(家紋)が入ると略礼装としてフォーマルにも着られます。

●色無地に合わせる長襦袢の素材は?

紋綸子や縮緬、楊柳等を合わせます。

●色無地に合わせる長襦袢の柄は?

一つ紋入をフォーマル服として着る場合には、無地もしくはぼかし。無紋の色無地を街着等として着る場合には、柄の入った長襦袢でコーディネートを楽しんでもOKです。

●色無地に合わせる長襦袢の色は?

結婚式・入学式・七五三等のフォーマルなシーンには、淡く上品な色を合わせてください。白でもOKです。無紋の色無地をややカジュアルなシーンで着る場合には色の規則はありません。

小紋・紬

小紋(こもん)や紬(つむぎ)は、元々は「普段着」という扱いの着物です。現在もフォーマルな礼服として着用することはありません。ただし正絹素材の小紋や伝統工芸品である紬は現在では高級品であり、遊び心がありつつ品のある着物のオシャレが求められます。

●小紋・紬に合わせる長襦袢の素材は?

紋綸子、縮緬素材等を合わせる方が多いです。

●小紋・紬に合わせる長襦袢の柄は?

柄行は自由です。小紋の場合には着物の柄を映えさせるために柄は控えめにする方も多いですが、紬の場合には小紋柄等の柄入り長襦袢を合わせ、オシャレな着物コーディネートを楽しむこともできます。

●小紋・紬に合わせる長襦袢の色は?

こちらも色に規定はありません。濃い色の小紋にあえて中間色の長襦袢を合わせたり、紬に濃くハッキリした色の長襦袢を合わせ、色のオシャレを楽しんでみてはいかがでしょうか。マスタードイエローや濃い朱色といった強い色合いは、紬の着物を映えさせてくれますよ。

木綿着物・ウール着物(普段着きもの)

木綿やウールの着物は、もっともカジュアルな扱いになる着物です。元々は完全に「普段着」の着物なのですが、最近ではショッピングやデート、コンサート等の「お出かけ着」としてデザイン性の高いウール着物や木綿着物を楽しむ方も増えています。

●木綿着物・ウール着物に合わせる長襦袢の素材は?

楊柳等の他、ウール(メリンス・モスリン)、木綿、化繊等も合わせられます。

●木綿着物・ウール着物に合わせる長襦袢の柄は?

柄行は自由です!あえて柄入り着物に更にインパクトの強い柄入り長襦袢を合わせてみる等、個性的な柄合わせやレトロな着物コーディネートも楽しめます。レース模様等の現代風の柄を取り入れてみるのも良いでしょう。

●木綿着物・ウール着物に合わせる長襦袢の色は?

こちらも色柄は自由です。華やかな色をポイントカラーとして取り入れるのも素敵ですね。

 

長襦袢の選び方&注意ポイント

フォーマル向けは「迷ったら白」

長襦袢の色をどうしよう…と迷ってしまった時、もっとも無難な色は「白」です。白い長襦袢は留袖や黒留袖・色留袖等、幅広い礼服用のインナーとして活躍してくれます。訪問着や色無地でもフォーマルな場に「白色」を着てOKです。また白っぽく透けやすいお着物の場合、セミフォーマルなシーンでも白い長襦袢は重宝します。「これからフォーマル着物にチャレンジする」という場合には、白の長襦袢を持っておいて損は無いでしょう。

着物と長襦袢のサイズは合っていますか?

既に着物があり、これから長襦袢を選ぶ…という時には、着物と長襦袢のサイズ合わせに気を使うことが大切です。

●長襦袢の「裄丈」が長過ぎませんか?

合わせる着物の裄丈(ゆきたけ)よりも長襦袢の裄丈が長いのはNGです!長襦袢の裄丈は、着物よりニ分(6mm程度)は短いのが鉄則。裄丈が長いと、袖が動くたびに袖口から襦袢がズルリと出てしまいます。

●長襦袢の「裄丈」が短すぎませんか?

長襦袢が小さすぎるのも困りもの。裄丈が数センチ以上も合わないような小さな長襦袢を選ぶと、着物の脇にある「身八つ口(みやつくち)」から長襦袢が出てきてしまうこともあります。

●着物と長襦袢の「袖丈」は合っていますか?

ここでいう「袖丈(そでたけ)」とは、洋服とは異なり着物の袖の「タテ方向」の長さです。長襦袢の袖丈が着物よりも二分(6mm)程度短いのが理想的。差が2センチ程度であれば許容範囲内ですが、数センチ以上も短いと見た目によくありません。また長すぎると長襦袢の袖下側が着物の中で折れ曲がって見えるので、こちらもNGです。

今ある長襦袢のサイズが合わない時には?

「家にある長襦袢と着物のサイズが合わない」「母親の長襦袢、大きすぎて体に合わない」…こんな場合には、長襦袢のサイズ直しをしてみてはいかがでしょうか。呉服店やきものクリーニング専門店等の業者では、「着物」だけでなく「長襦袢」のサイズ直しも受け付けています。大きいサイズを小さくするだけでなく、縫込みを引き出して、小さいサイズを大きくすることも(縫込み部があれば)可能です。

 

おわりに

袖口や裾からチラリと見える「長襦袢」は、見える面積の狭さに比べてとても目立つものです。TPOや着物に合わせた色柄・素材をきちんと選びましょう。またサイズが合わない長襦袢を着ると着付けが美しくないだけでなく、着崩れやすく動きにくく、一日を通して不快な思いをします。快適に着物のオシャレを楽しむためにも、長襦袢選びは慎重に行いたいですね。

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プロフィール

吉原ひとし


着物ケア診断士 吉原ひとし

着物の染み抜きやお直しをする場合、加工内容や料金は検討がつかないと思います。お近くに専門店があれば安心ですがシミや汚れを見てもらったが、無理だと言われ諦めてしまう方が多いのです。遠方にお住まいの方はお電話又はメールでご相談いただければ、無料にてアドバイスさせていただきます。クリーニングやお直し以外でも着物の事ならお気軽にご連絡ください。

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