結婚式や式典等の歳、ミセスであれば「留袖を着ようかどうしようか」と思う方が多いはず。
「でも、夏だから季節に合わないかも」「でも、冬だから寒いかも…」
こんなふうに悩んで、着ようと思っていた留袖を諦めていませんか?お持ちの留袖は、四季を通じて着ることができる礼服です。ここではオールシーズンで留袖を着るためのポイントについてご紹介していきます。
夏は「絽の留袖」じゃないとダメ?
夏は絽(ろ)や紗(しゃ)等、涼し気な生地の着物を着用する季節。そのため「留袖も絽のものでないと、季節に合わないのでは」「袷(あわせ)の留袖しか持っていないから、夏は無理…」と思われている方も多いようです。もちろん絽の留袖があれば、見た目も着心地も涼しいですし理想的に見えますね。しかし夏用の絽の留袖をわざわざ仕立てるのは大変。最近の結婚式であれば、袷の留袖でも十分着ることができるんです。
結婚式会場・披露宴会場は、礼服を着てくる方々のために冷房もよく効いています。さらに式典や結婚式等の場合であれば、ちょっとした移動も車等がメイン。そのため多くの人が、夏に袷の留袖を着用されるようになったのです。また絽の留袖をお持ちの方でも、最近はわざわざ袷を選ぶ方が増えています。これは、写真を撮る機会が多い昨今の結婚式等では、絽の留袖だと着物が透けて白っぽく写ってしまうからなんです。袷の留袖を着てもマナー違反とはなりませんので、ご安心くださいね。
夏に留袖を着る時のポイントは「長襦袢」
さて夏に留袖を着る時に大切なのが「できるだけ快適に」ということです。確かに上記のとおり、現在の各会場では冷房もよく効いています。とは言え動き回ったりすると、一日の中では「暑い」と感じられることもあるかもしれません。できるかぎり重苦しくなく、涼しく留袖を着られた方が快適ですよね。
そこでおすすめしたいのが、長襦袢のみを単衣のものに切り替える方法です。「袷の留袖なのだから長襦袢も冬用でないと…」と思い込んでいませんか?最近の夏の結婚式では、非常に多くの方が袷の留袖に夏用の単衣の長襦袢をお召しです。もちろん袷には本来は冬用長襦袢を合わせるのが理想。しかし「袷+夏物長襦袢」も、快適さを重視する中で許容される範囲となっています。半襟だけを冬用につけかえて、全体の印象をまとめるのも手です。
夏に留袖を着たらアフターケアに注意!
夏に留袖をお召しになられた場合、気をつけていただきたいのが汗の処理です。冬季に留袖を着用された時に比べると、非常に多くの汗等の水分が着物に吸い込まれています。着用して帰ってきたら、すぐに畳んでしまう…これでこもってしまった汗が、カビや変色の原因となるのです。
夏に着た留袖は、お帰りになったらまずすぐに和装ハンガーにかけましょう。直射日光の当たらない風通しの良いお部屋、もしくはエアコン等で湿気が無い状態にしたお部屋で、冬季よりも長時間空気にあてて汗を飛ばします。汗を飛ばしている間に、汗ジミ・汚れが無いかもチェックしてください。
【汗ジミになりやすい箇所】
・両手の袖口(特に内側)
・背中(特に背骨~肩甲骨あたり)
・帯をしていた部分
・両脇
・肘(肘の裏が当たる部分)
・ヒザ(膝の裏が当たる部分)
汗をたっぷり含んでいてご不安な場合には、軽く汗抜きを行います。細かい霧の出る霧吹きで汗をかいた部分にほんの少し水分を含ませ、柔らかいタオルでトントンと叩くように水分を取っていきましょう。なお水分を含ませすぎると生地が縮んだり、色落ち等の恐れがありますのでご注意ください。また今後しばらく留袖を着る機会が無いようであれば、しまう前に一度 汗抜きクリーニングに出された方が安心です。
冬の寒さ対策には絵羽コートをプラス
最近では暖房設備の整った会場が多いため、冬季の留袖姿については寒さを気にする機会も少なくなりました。温かい素材の肌襦袢や足袋等を選べば、室内および車移動がメインとなる結婚式や式典なら十分寒さをしのげることが多いです。
でも「留袖姿で屋外に居る時間が長い」「公共機関での移動」という場合には、ちょっと風の冷たさが気になりますね。このような場合には、礼装用のコートである絵羽柄コートを羽織ってみるのも手です。着物には、道行(みちゆき)やコートといった冬季用の羽織ものがあります。おしゃれ着や普段着として着用するのが小紋コート。礼装用の留袖に合わせるのが、裾に絵羽柄の入った絵羽コート(黒地の場合には黒絵羽コート)です。
近年では結婚式会場で着物を着付けられる方が多いため、礼装用コートである絵羽コートを見かけることはめっきり減ってしまいました。しかし本来、冬季の着物には羽織ものを合わせるのが正式な姿。絵羽コートであればれっきとした礼装用ですから、式典や結婚式等の際にも堂々と着用できます。かつてお仕立てになった絵羽コートが眠っていたり、お母様やお祖母様がお持ちであった絵羽コートがタンスにある…ということでしたら、冬季の留袖姿にプラスしてみてはいかがでしょうか。