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パールトーン加工とは?着物のガード加工のメリット・デメリット

パールトーン加工

「着物のキレイな状態を長く保ちたい…」お着物を好きな人、着物にチャレンジしている人なら、誰もがそう思うはず。キレイな状態を長く保てる着物のパールトーン加工やガード加工が気になっている!という人も多いのではないでしょうか。

パールトーン(R)加工とは、株式会社パールトーンによる着物等の衣類・繊維のガード加工(撥水加工・防汚加工)の登録商標です。着物のガード加工の中でももっとも歴史の長い技術のひとつであり、着物好きの人たちの間でもよく知られた存在と言えます。

今回はこのパールトーン加工等の着物ガード加工について、加工をするメリットや、デメリットがあるのかどうか等を詳しく解説していきます。

着物のガード加工・パールトーン加工のメリットとは?

1.シミ・汚れが付きにくくなる

パールトーン加工等は、繊維の一本一本に対して水や油などを弾きやすくする成分を浸透させます。これによって、水溶性のシミ・油溶性のシミ汚れが付きにくくなるのです。

水溶性・油溶性シミの代表格と言えば、例えばお醤油等のハネや食べこぼし等が挙げられますね。お醤油をポタッと着物に垂らしてしまうと、通常の場合にはすぐにシミになってしまいます。通常の場合、こうなったらもうクリーニングに出すしかありません。

しかしパールトーン等のガード加工が施してあれば、お醤油の水分を弾いてくれます。ですからこんなトラブルのときでも、落ち着いて軽くティッシュやハンカチでサッと抑えてお醤油を吸い取ってあげればOK。シミ・汚れによる着物のお手入れがグッとラクになるのです。

2.ちょっとした水シミ・ウォータースポットも安心

正絹(シルク)は、特に水分による伸縮が起きやすい素材です。正絹の着物に雨の水滴が付いてしまうと、そこだけが縮んで水玉のようなシミ(雨シミ・ウォータースポット)ができてしまう…なんてことも珍しくありません。

水分を弾きやすくするパールトーン加工等の撥水加工を行えば、傘からの雨だれ・グラスから垂れた水滴等による水シミも防いでくれます。雨が降っていても、撥水加工があればグッと気軽にお出かけができるというわけです。

3.撥水だから暑苦しくならない

「汚れがつかないのは魅力だけど、加工をしたら雨ガッパみたいに風を通さない生地になってしまうのでは…」と、心配している人も多いかもしれませんね。これは「防水」のイメージでパールトーン加工のことを考えているからではないでしょうか。

「防水」と、パールトーン加工等の「撥水(はっすい)」には、かなり大きな違いがあります。

【防水】※防水スプレー等の場合
生地・繊維の「表面」に膜を張るようにして、水・油を弾きます。布地の上にビニールやラップをペタッと貼るようなイメージです。そのため、水だけでなく「空気」も通しにくくなります。
 
わかりやすい言い方をすれば、着物がレインコートのような生地に変身したかのようなイメージです。着物のガード加工でも「防水加工」を施した場合、着物の風通しが悪くて着るとムレて暑くなったり、保管をしているうちにカビが生えやすくなるといった欠点があります。
【撥水】※パールトーン加工等の場合
撥水加工は、繊維の縦糸・横糸の一本一本に対して水・油を弾きやすい成分を染み込ませます。布地自体が水を弾きやすくなっているイメージです。膜が張られていないので、空気は加工前とほとんど変わらずに通ることができます。
 
そのためパールトーン加工をしても夏着物等は涼しく着ることができますし、保管中にカビが生えやすくなるといった心配もありません。

4.様々な素材や着物・和装小物にも加工できる

パールトーン加工(R)というと「着物だけの加工」と思っている方も多いのですが、実はパールトーンは帯や長襦袢、羽織等、様々な和装小物や上着等にも加工を施すことができます。

また正絹(シルク)の着物・和装小物にはもちろん、ウール・木綿といった幅広い素材に対しての加工が可能です。

着物のガード加工・パールトーン加工にデメリットはある?

様々な魅力があるパールトーン加工等の着物の撥水加工・ガード加工ですが、デメリットはあるのでしょうか?

1.完全防水ではない

着物の撥水加工は、上でも解説したとおり「着物を完全防水にする加工技術」ではありません。水分を弾きやすくはなりますが、成分による表面の膜を張っているわけではないので、多量の水が入り込んでくれば繊維の中に水分が染み込んでいってしまいます。

とても極端な例ですが、バケツの水をかぶったように雨に濡れれば、撥水加工をしていても着物は濡れてしまうということ。

パールトーン加工等の撥水加工をしたからといって、どんな無茶でもできるというわけではないのです。

2.万一汚れが染み込むと取れにくい

上の例では「水」をたとえに出しましたが、これがボトル1本分といった多量のワインだったとしたら、撥水加工の機能を超えて着物にシミができてしまう…ということになります。ガード加工の大きなデメリットは、このような「保護できる範疇を越えてシミができた場合、汚れが取れにくい」という点です。

着物のクリーニングでは、繊維の中に染み込んだ油溶性または水溶性の成分を、溶剤や洗剤等を使って取り除いていきます。ところがガード加工を施した着物は、溶剤・洗剤等の成分を撥ね付けてしまいます。まずはガード加工を取り除き、その後でようやくシミ抜きの作業に入るというわけです。

そのため着物クリーニングの店舗・業者によっては、自社取扱以外のガード加工済みの着物のシミ抜き・丸洗いをNGとしているところもあります。

3.クリーニングを依頼できるお店が限定される

上の項目では「シミができた場合」のクリーニングを想定しましたが、ふだんのクリーニングのお手入れ(丸洗い等)でも、パールトーン加工等のガード加工着物には制限が生まれます。

例えばパールトーン加工の場合、パールトーン社のクリーニングでないとせっかく施した加工が取れてしまうのです。一度パールトーン加工を行った着物については、原則として「クリーニング・お手入れは株式会社パールトーンに一任となる」と考えた方が良いでしょう。

通常の洋服のように「クリーニングは近所のお店で」といった選択肢はなくなりますし「安い着物クリーニングの業者を探して頼む」といったことも基本的にはできません。

シミ汚れが付きにくくなった分だけ、クリーニングの回数は減らせることでしょう。しかし撥水加工・防汚加工をしたからといって、今後クリーニングを永遠にしなくて良い…というわけではありません。選択肢が限られることは必ずしも悪いことではありませんが、「自由にお店が選べない」という点は事前によく考えておいた方が良いでしょう。

おわりに

パールトーン加工等の着物のガード加工について、そのメリット・デメリットはいかがでしたか?着物のガード加工には多くの魅力がありますが、すべてが良い点だけとは限らず、そこには多少のリスクもあります。そのため一概に「どんな着物も誰でもガード加工をした方が絶対に良い!」と言い切ることはできないのです。

良い面・悪い面の両方を照らし合わせた上で、着物の加工をどうするかを決めていきましょう。ガード加工の利便性は確かに大きなものなので、まずは気軽な普段着着物等から加工を試してみるというのも手ではないでしょうか。

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プロフィール

吉原ひとし


着物ケア診断士 吉原ひとし

着物の染み抜きやお直しをする場合、加工内容や料金は検討がつかないと思います。お近くに専門店があれば安心ですがシミや汚れを見てもらったが、無理だと言われ諦めてしまう方が多いのです。遠方にお住まいの方はお電話又はメールでご相談いただければ、無料にてアドバイスさせていただきます。クリーニングやお直し以外でも着物の事ならお気軽にご連絡ください。

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