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喪服着物にカビが!応急処置は?自分でできる着物のカビ対策

喪服着物 カビ

突然のお通夜やお葬式。急いで喪服着物を用意しなくては…と着物を出してみたら、着物にカビが!湿気の多い日本では、こんな経験をお持ちの方も多いかもしれませんね。着物の生地に残っている汗や汚れ等は、カビ菌の大好物。保管状態によっては、一気にカビが増えてしまうこともあります。カビを見つけ次第、早めに的確な対策を取ることが大切です。

今回は「喪服着物をすぐに着用したい」という時の応急処置的なカビ対策、またその後に行っておきたい着物のカビ対策についてご紹介していきます。

着物のカビの応急処置、これをやってはNG?

洋服についたカビ対策については、ネット上でも様々な情報を取得することができますね。でも着物は生地の素材や織り、染め等が洋服とは異なるため、普段着等の洋服類と同じ対策を取れないこともあります。

濡れタオルで拭くのはダメ?

お洋服用のカビ対策ですと、「ぬるま湯・お湯に浸したタオルを絞って、カビ部分を拭く」という対策を使う人も多い様子。でもこれは、基本的に「カビを取った後に洗濯機で洗うこと」を想定した場合の対策です。

洗濯機にそのまま入れてしまうとカビ菌が全体に移ってしまう可能性があるため、事前にできるだけカビを取っておく「プレ対策」とも言えます。

しかし喪服等の礼服の着物は、濡れタオルで対策を行っても、その後に自宅で洗うことができません。濡れタオルで取り去った時に衣類の繊維の奥にカビ菌が押し込まれ、更にカビが取りづらくなってしまう恐れもあります。

また使用する直前に見つけた喪服着物のカビには、水分を与えるのはNG。着物も汗取り等のために絞ったタオルを使うことはもちろんありますが。しかしその場合には生地に水分が入った後には1日~2日以上は陰干しを行い、その後にしっかりと水分を飛ばす必要があるんです。

着用直前等に濡れタオルで拭いて、翌日に着用をした場合、生地の水分が完全に飛びきっていない可能性も大。着用したことによって温められ、更に水分が増えた状態になったことで、カビが余計に増えてしまうこともあるんです。

消毒用のアルコールを使用するのはダメ?

カビ菌を除菌するために、消毒用のエタノール等のアルコール類を使う方法も、洋服のカビ対策ではありますね。消毒用アルコールは自然に空気に飛散する「揮発性」があるので、洗えない素材等のカビ対策に使用する方が多いようです。ただこちらについても、喪服着物のカビ対策にはあまりおすすめできません。

喪服着物等の礼装用の着物は、その多くが「正絹(しょうけん・シルクのこと)」というデリケートな素材で出来ています。正絹は水濡れに非常に弱いだけでなく、様々な成分に対してもあまり耐性が無い繊細な素材です。生地の状態、染めの状態等によっては、色落ち・変色・生地の変性が起きてしまうこともあります。

特に喪服着物の場合、柄が無い「黒無地」であることから、一部に変色が色落ちができると非常に目立ちます。「これから着用する」という時の対策として、変色や色落ちが起きる可能性のある薬品類の使用は避けた方が無難です。またアルコール類等による大きな変色ができると、最悪の場合には専門店でも染め直し等が難しくなってしまうこともあります。

 

明日着る喪服にカビが!今すぐできるカビの応急処置

「明日喪服着物を着るのに、カビが生えてる!」そんな時には、今すぐに出来る応急処置をしておきましょう。

【用意するもの】
・和装ハンガー
・古い布(ベルベット・ベロア生地等が最適、綿の古いハンカチ等でもOK)
・マスク(使い捨てのもの)
・ゴム手袋(使い捨てのもの)
・ゴミ袋

1.マスク・手袋を着用する

カビ落としで飛び散ったカビが体内に入ると、感染症やアレルギー、カビ中毒等を起こす可能性があります。作業時には必ずマスクをしてください。また屋内作業等の場合、同じ部屋にご家族等が同席されないようにしましょう。特に免疫力・抵抗力が低いご高齢の方や赤ちゃんと同じ部屋で作業をしてはいけません。

2.屋外に出るか換気をする

カビを取る作業は、カビが生えている着物を和装ハンガーにかけて行います。できれば作業は屋外で行うのが理想的です。ベランダや庭先に物干し等がある場合には、そちらを使っても良いでしょう。ただしこの場合、周辺に他の衣類がない状態にしてください。

天候が悪い、着物を干せる場所が無い等の理由で屋外作業が難しい場合には、お部屋の窓を全て開けて、よく換気をした状態にします。クローゼット・押入れ等は必ず閉めて、カビ菌が他の衣類に飛散しないようにしましょう。カビの量が多い場合には、着物を干した場所の下に新聞紙等を敷いておくとより安心です。

3.布でカビを払う

乾いた布をカビ部分に当てて、軽く払うようにしてカビを落としていきます。カビを落とそうと強く布を当てるのはNG!カビがますます繊維の奥に入り込んでしまいますから、力を入れずにサッと払うようにしましょう。

この時、パイル織物の一種である「ベルベット(ビロード)」「ベロア」等の生地を使用すると、布の毛羽立った部分が着物の繊維の奥にうまく入り、カビをかなり奥まで落とすことができます。もう着用しないベロア生地の古着等があれば、そちらを利用してみても良いですね。

なお同じ「毛羽立った布地」でも、掃除用等のマイクロファイバー生地等は使用しないでください。掃除用の繊維は非常に硬く丈夫です。着物の正絹生地をこすり過ぎてしまい、変色や色抜け等が起きる可能性があります。

4.影干しをしておく

白いカビが目立たなくなったら、お部屋の風通しの良い場所等に着物をかけ、できるだけ水分を飛ばしておきます。

5.布・手袋類を破棄する

作業に使用した布や手袋・マスク等は、小さなゴミ袋等にひとまとめにしてすぐに破棄します。布類を再利用したり放置すると、カビ菌がますます増えてしまうことも。

目には見えなくても菌は残っていますので、必ず早めに処理をしてください。

フワッとしたカビが生えている場合、上記の応急処置で丁寧にカビを払えば、「とりあえずの着用」にまでは持っていくことができます。喪服着物を出した時に少しでもカビの発生が見られる場合には、慌てずにすぐに応急処置をしておきましょう。

 

カビ菌は見えなくなっても残ってる?アフターケアが大切

「応急処置でカビが目立たなくなったから…」といって、お葬式や法事で着用した着物をまたタンスにしまうのはNGです!確かに喪服着物に付いている白いカビは、前述の方法で「見た目だけ」は落とすことはできます。特に範囲が非常に狭く、まだ新しいカビという場合であれば、ベロア生地等を使って丁寧に払い落とすことでカビ菌を除去できることもあります。

しかし着物が以下のような状態だった場合、ご自宅での対策でカビ菌を根本から取り除くことはできません。

【着物の状態をチェックしてみましょう】
1)着物からカビの匂いがする(カビ臭い)
2)カビが一箇所(1センチ程度)ではなく様々な箇所に発生している
3)着物のチェック・虫干しを3ヶ月~6ヶ月以上は行っていない

上記に思い当たる点がある場合、カビ菌が繊維の奥にまで根を張っている可能性が高いです。繊維表面のカビは取れても菌が衣類に残っているため、そのまま保管をすれば再度カビが生えてくることに…。カビ菌は非常に丈夫で、厄介な存在なのです。次回着用までに間が空いたり、湿気対策が万全でなかった場合、更にカビが多量に繁殖して生地に変色を起こしたり、付いた匂いが取りにくくなってしまうこともあります。

早めに専門店に依頼をしましょう

喪服着物にカビを発見したら、「とりあえずの着用」までは応急処置で済ませてもOK。でも弔事が済んだら、早めに悉皆屋や和装クリーニング専門店等にカビ取り対策の相談をしましょう。

カビは一度繁殖をしてしまうと繁殖の根が徐々に深くなり、最悪の場合にはプロでも落としきれないことにもなります。「喪服着物を着用できない」ということにならないよう、少しでも早く専門店での対処を行っておくことをおすすめします。

応急処置でカビが取り切れなかった場合には

前述の応急処置でカビが取り切れない(見た目に取れていない)場合も、カビ範囲が非常に広い・もしくは根が深いか、繊維の変色が起こっている可能性が考えられます。自宅での処理を無理に行うと着物に多大なダメージが残る恐れがあるので、この場合にも早めに専門店に依頼をしましょう。

ただ和装専門店でのカビ取り作業は全て手作業となる上に、カビを再度生やさないためのいくつもの工程が必要となることから、洋服のクリーニングのような「特急仕上げ」ができません。業者によっても作業期間は異なりますが、作業期間が1ヶ月~1ヶ月半程度かかるのが平均です。

お通夜やお葬式が目前にあり応急処置での対処が難しい場合には、ご自身のお着物での参列は諦め、早めにレンタル着物等の依頼を行われることをおすすめします。

 

喪服以外の着物・衣類のカビ対策を忘れずに!

喪服の着物にカビが生えているのを見つけたら、「喪服だけ」のカビ対策で終わらせてしまうのは危険!カビ菌は喪服着物だけでなく、その他の衣類にもはびこっている可能性があります。早めにタンスのカビ対策もしておきましょう。

タンス内の着物を総チェックする

タンス内の着物に一着でもカビの発生を認めたら、全ての着物のチェックを行いましょう。特に喪服着物の場合には黒色無地であることから特に喪服の着物は黒色無地なのでカビの発生が比較的目立ちやすいのですが、その他の着物の柄部分等ですと、なかなかカビ発生に気づかない…ということもあります。明るい場所で着物を広げ、カビの繁殖が無いか、カビ臭さが無いかを確認してください。

虫干しをする

一着の着物にカビが生えたということは、着物類に湿気がこもっている可能性が大。お持ちのお着物を虫干しして、風を通しましょう。着物だけでなく「帯」の虫干しも忘れずに!帯の中にある「芯」は湿気がこもりやすく、カビの温床ともなるものです。しっかりと湿気を飛ばして、カビが生えるのを防ぎます。

タンス・クローゼットの換気を

昔の木造住宅に比べて、現代の日本家屋は密閉性が高くなり、湿気がこもりやすくなっています。窓を開けてよく換気をした状態でタンスの引出しを全部開ける・クローゼットの扉を開けるなどして、着物の保管場所の換気も行いましょう。

除湿剤を入れておきましょう

和装用の除湿剤は入っていますか?入れている除湿剤の使用期限などもチェックし、保管中の除湿が十分になっているかを確認しましょう。

 

喪服着物にカビを生やさないための予防対策

和装クリーニング店等で喪服着物のカビ対策を十分に行ったら、今度は「今後カビを生やさないための予防対策」を取るようにしましょう。しっかりと対策を行っておけば、次回以降の着物のトラブルがグッと少なくなりますよ。

着用後には十分に汚れチェックとシミ抜き・陰干しをする

着物を一回でも着用したら、しっかりと全身の汚れのチェックをしましょう。また温かい時期に着物を着た時には、汗抜きも丁寧に行うことが大切です。食べこぼしや泥ハネ等のシミは小さなものも見逃さず、自宅でケアをするかクリーニングを行います。また着用後には1日~2日以上陰干しを行い、繊維に残った水分をしっかりと飛ばすようにしましょう。

年に3回の虫干しを

虫害対策とされている「虫干し」ですが、定期的に行うことで生地に湿気が貯まるのを避けるので、カビ対策にもなってくれます。天気が良い日が続く乾燥した季節を選んで、年に3回程度は定期的な虫干しを行う習慣をつけておくと良いですね。この際に着物の状態をしっかりチェックしておくと、カビや虫害等も早い段階で対策を取ることができます。

保管は「タトウ紙」もしくは「和装専用の保管袋」に

和装専門のクリーニング業者であれば、クリーニング後には着物用の「タトウ紙」に包んだ形で返却をしてくれるのが一般的です。しかし業者によっては、洋装と変わらないようなビニール袋に包んだまま…ということもあります。またお仕立て上がり(既成服)の浴衣等の場合、購入時にビニール袋に入っていることも。

このような「ビニール袋」のままで保管をするのは厳禁です。通気性の悪いビニール素材に包まれていると、カビが一層生えやすくなってしまいます。着物の保管は通気性が考えられたタトウ紙、もしくは和装専用の保管袋で行うようにしましょう。

 

おわりに

日本古来の伝統的な製法を取っている「着物」は、大切に扱えば何十年にも渡って着ていくことができる製品です。しかし温暖で湿度の高い日本では、「カビ」が非常に厄介な存在となります。「見た目にわからないから、大丈夫かな」と侮ることなく、早めに適切な処置を行っておくことが大切です。

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