お手入れ

【プロが解説】着物についた抹茶しみの対処法は?よくある疑問Q&A

着物につきやすいしみのひとつに「抹茶のしみ」があります。茶道等のお稽古事で付いてしまうこともありますし、お呼ばれしたお茶会やお出かけ先で抹茶を着物にハネさせてしまうことも考えられますね。さてこの着物の抹茶しみ、対処法はあるのでしょうか?

吉原ひとし
吉原ひとし
こんにちは。創業明治三九年 四代目 ふじぜん 吉原ひとしと申します。着物を専門に取り扱うクリーニング店の店主をさせていただいております。今回は着物についた抹茶のしみについて、正しい対処法や落ちない理由、予防法等を詳しく解説していきます。着物の抹茶しみにお困りの時の参考になれば嬉しいです。

1.着物についた抹茶のしみは家で落とせる?対処法は?

着物についた抹茶のしみをご家庭で落とせるかどうかは、3つの条件にかかっています。1つ目は「着物が水洗いできること」2つ目は「ついて間もないシミであること」3つ目は「シミがごく小さいこと」です。この3つに適さない場合には、汚れや色が残ってしまう可能性の方が高くなるので、ムリに自己処理せず、お店にすぐに相談することをおすすめします。以下に応急処置など、詳しい対処法を解説します。

着物に抹茶のしみ:出先の応急処置

着物に抹茶のシミがハネた場合、行う応急処置の基本は「水分を取る」だけです。とにかく汚れを広げないこと、こすらないことが大切です!乾いたタオルやハンカチ、またはティッシュ等で優しくシミの箇所を押さえて、水分を取りましょう。

濡らしタオルやおしぼりを使ったり、軽く濡らすだけだと、汚れは水に乗ってどんどん広がるだけです!専門店で着物の抹茶シミをシミ抜きする場合、料金は「汚れの範囲の広さ(シミの大きさ)」で決まります。シミが大きくなるほど料金は高くなります。応急処置を間違うと、ムダに高いシミ抜き料金を払うことになるので、基本的に「触らない」を大切にしましょう。

そして着物の抹茶シミをご自宅で対処する場合でも、お店に持ち込む場合でも、とにかく早く行動することが大切です。その日のお出かけはできるだけ早めに切り上げて帰宅することをおすすめします。

洗える着物についた着物の抹茶しみ対処法

上でも書きましたが、着物についた抹茶シミのシミ抜きが家でできるのは「洗える着物(水洗いに対応すると明記されている着物)」のみです。またご家庭でのシミ抜きで汚れが落ちるのは、付いた当日中までの対処でもギリギリの期限だと考えた方が良いでしょう。お持ちのお着物が水洗いに対応しているか、よく確認してから処理を行いましょう。(着物の繊維や洗濯可否がわからない場合には、ムリにシミ抜きしないで早めにお店に相談してくださいね)

【用意するもの】

  • 中性洗剤(おしゃれ着タイプ)
  • 洗濯ネット
  • 着物用のハンガー
  • アイロン、アイロン台、霧吹き、あて布

【事前のチェック】

  • 今日中に付いたシミですか?
  • 着物は水洗いに対応していますか?
  • シミの大きさは1センチ以下ですか?

※上記にあてはまらない場合には、すみやかに専門店でシミ抜きの相談をしましょう。

【着物の抹茶シミのシミ抜き対処手順】

  1. 汚れが付いた部分をよく水で流して、裏側から軽く指で叩くようにし、固形汚れをできるだけ落とす。
  2. 中性洗剤を原液で少量つけて、指で優しく揉み洗いする。
  3. 水でよく流して状態をチェックする。
  4. 汚れが落ちたら、洗面器等に水をためて中性洗剤を溶かし、着物を畳んで全体を漬け込み、優しく押し洗いする。(部分洗いだけで終わらせず、全体を洗って輪ジミ等を防ぎます)
  5. 着物をネットに入れて洗濯機に入れ、脱水のみを30秒程度行う。
  6. ハンガーにかけて形を整えるか、物干しにかけ、直射日光を避けて自然乾燥させる。
  7. アイロンでシワを伸ばして形を整え、仕上げる。

※漂白剤は酸素系であっても使用しないでください。保存状態が悪かったり、昔の着物の場合、水洗いに対応する着物でも脱色や変色を起こす場合があります。
※シミの状態、着物の織りの状態等によっては、当日についたシミでも汚れが落ちきらない場合があります。この場合、色素が定着してしまう可能性があるため、ムリにご自宅でシミ抜きを繰り返すより、お店でシミ抜きしてもらった方が良いです。できるだけ早めにお店に持ち込みましょう。

2.着物の抹茶のしみ、なぜ落ちにくいのですか?

粉末 抹茶
着物についた抹茶のシミは、基本的にご家庭では落とせないくらいに手強い汚れです。これには「固形の汚れがある」という理由と、「色素が非常に強い」という2つの理由があります。

水に溶けない「固形物」が含まれる

「抹茶は飲み物だから液体汚れ」と思っていませんか?これは実は間違いです。抹茶はそもそも、茶葉を揉まずに乾燥させて臼で挽き、その粉末を入れて飲むものです。つまり「茶葉の粉」そのものという細かな固形物がそのまま入っていることになります。例えは悪いですが、細かな砂がたくさん入った泥と同じです。

抹茶に含まれる茶葉の粉は水にも溶けませんし、油剤などにも溶けない「不溶性の固形物」です。抹茶のシミには、この細かな粉がビッシリと付いていることになります。ですから軽く濡らした程度では水に溶けることもなく、どんどん汚れが広がってしまうのですね。

色素が多く繊維に定着してしまう

茶葉はそもそも色素を多く含みます。また安価な抹茶になると、緑の色を強く出すための着色料として銅葉緑素やクロロフィル等が添加されていることもあります。いずれにしてもワインやブドウジュース等と同じく、色素成分が非常に多い飲み物、というわけです。

そのため抹茶は少し着物に付いただけでも色素成分が多く、色味が繊維に残ってしまいます。時間が経てば経つほどこの定着力は強くなり、染まったような状態になってしまうことも多いのです。

3.着物の抹茶しみはクリーニングで落ちますか?

着物についた抹茶のしみは、一般的な着物クリーニングである「着物丸洗いクリーニング」では落ちません。しみをキレイに落とすには、原因に合わせて専門の職人さんが手作業で汚れを落とす「着物用のシミ抜き」が必要です。

丸洗いでは抹茶シミは落ちません

着物の丸洗いクリーニングとは、石油系の溶剤を使って全体を機械洗いする、いわゆる「ドライクリーニング」です。石油溶剤を使うので、油に溶けやすい油溶性汚れ(軽い皮脂汚れ等)は落としやすいのですが、水をベースにした水溶性汚れや、固形物の汚れが付いた不溶性汚れなどは落としきることができません。

抹茶は茶葉の細かな粉末という固形物にお湯を加えたものですから、水ベースの水溶性汚れであり、また同時に固形物が付いた不溶性の要素も持っています。そのため「丸洗いクリーニング」だけでは、抹茶のシミには対処ができません。

着物専門のお店に相談しましょう

着物は特殊な繊維や染料を使ったデリケートな衣類です。そのため着物の場合、「着物のシミ」だけを扱う専門の職人さんが居ます。ところが一般的なクリーニング店の場合、このような職人さんが居るお店ではないので、抹茶のシミ等の難易度の高いシミだと「これは落ちません」と断られてしまうことがあります。

着物に抹茶のシミが付いてしまったら、着物を専門に扱うクリーニング店(悉皆屋さんでもOKです)で、着物のシミ抜きを行っていることを公式サイト等で明記しているお店を選ぶようにしましょう。

4.着物の抹茶しみを予防する方法はありますか?

パールトーン加工
茶道のお稽古等でよく使う着物等の場合、撥水加工(ガード加工)で抹茶シミを予防することををおすすめします。

撥水加工(ガード加工)とは?

撥水加工とは、布地が軽く水分を弾くようにする特殊な加工です。布の表面に特殊な成分を吹き付ける方法と、生地そのものをガード液に浸す方法があります。どちらかの方法で布を優しくコートすることで、水やその他の汚れが繊維に染み込みにくくなります。

着物に撥水加工を施すと、抹茶のシミが完全に染み込まず、軽く拭き取るだけでシミ予防しやすくなります。着物の撥水加工(ガード加工)は、着物を専門に扱うクリーニング店や着物お手入れの専門店で行っていますので、相談してみると良いでしょう。

おわりに

着物についた抹茶シミは、放置するとどんどん落ちないシミになってしまいます。どんなに小さなシミでもシミを発見次第、できるだけ早く対処するようにしましょう。

当店『着物ふじぜん』でも、着物に付いた抹茶シミ等のシミ抜きを受け付けています。お近くに着物専門のクリーニング店が無い、着物の抹茶シミを断られてしまった等でお困りの時には、宅配便でもエリア対応していますので、お気軽にご相談くださいね。

また「昔の抹茶シミが取れないままになっている」といった場合、色汚れを完全に落としきるのは難しいかもしれませんが、染色補正(部分的な染め直しや柄足し等)で着物を蘇らせられるケースもたくさんあります。「もう着られない」と諦める前に、ぜひ一度当店にご相談ください!

他店で断られたシミ承ります!

着物染み抜きサービス

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吉原ひとし


着物ケア診断士 吉原ひとし


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